困難なときこそ成功に続く糸を手繰り寄せる オークファン 武永修一代表取締役(第3話)

創業期に訪れたどん底の危機

──2000年から個人事業をスタートし、2004年に株式会社デファクトスタンダード設立。そして、2007年株式会社オークファンを設立・推進していく中で困難な時はありましたか?

いっぱいありましたよ。そのなかでも特につらかったことは、株式会社デファクトスタンダードをつくった直後の2004年に訪れました。それまで、仲間内で個人事業として楽しくやっていたのですが、個人で売上が1〜2億円あったので、会社を作ろうという話になりました。

しかし、代表取締役を誰にするか、株主をどうするか、という時に仲間内で揉めたのです。私が元々は一人で事業を始めたのですが、共同代表者が「やっぱりお前が社長で俺が副社長なのはおかしい。どちらかというと俺が社長だろう。」と言い出しました。

当時、私は輸入会社やリサイクルショップがいっぱいある東京で事業を進めており、事業のオペレーション自体は共同代表者が大阪で行っていました。その共同代表者と大阪のメンバー全員から「俺たちは俺たちで、このタイミングで同じ会社をつくる」と言われて、仲間割れをしてしまいました。

入荷や倉庫や契約主体は私なので、メンバーが出ていった後も倉庫などのお金の請求はずっと私に届くわけです。数年間でかなり貯めた貯金も半年で底をつきました。この時が一番辛かったですね。寝ていても汗がすごくて、このままだと心を壊してしまうかもしれないと思いました。

──大変な時期でしたね。それをどのように乗り越えられたのですか。

まずは、色々な経営者の書籍を読み漁りました。

『社長失格』(板倉雄一郎、日経BP社)や『追われ者―こうしてボクは上場企業社長の座を追い落とされた』(松島庸、東洋経済新報社)なども読みました。ひどい顛末で会社を追われていく様子が描かれていました。

一方で、孫さんの『志高く』(孫正義、実業之日本社)も読みました。「スターバックス成功物語」(ハワード・シュルツ、日経PB社)も記憶に残っています。

失敗談と成功談の両方を読むことで、「こうはなりたくない」、「こういう人になりたい」となるわけです。読書が心の拠りどころとなりました。

もう1つは、3つ目の素養の「キャラクターの確立」(第1話)にも通じる話です。

当時、私は色々な交流会に出て「オークションで稼いでいます」という名刺を配りまくっていました。もちろん良い商材を仕入れられないかという目的でした。

その中で、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったライブドアの方にお会いすることができました。ライブドアは、ライブドア大学という講座で、ブログやモバイル、プログラミングなどのさまざまなカリキュラムを盛り込むことを検討していました。

その中に「オークション」があり、私に「登壇してくれませんか」という依頼があったのです。原稿料や講演料はどうても良く、当時の私からするとライブドアで堀江貴文さんに会えたり、そこで講演できるということが、すごく嬉しいことでした。時代もありますが、あれだけ世の中を熱狂させていた会社って今思い出してもなかなかないです。

それが自分の中での励みとなり、過酷な状況でしたが「もう少しだけ頑張ってみよう」と思えたのでした。

細い糸を手繰り寄せれば成功が待っている

当時は、もし自分のビジネスがうまくいかなくなったら、オークション関連の講演をしながらノウハウを売って、今までの体験をお金に変えていきたいと考えていました。

ライブドア大学での経験が自分の自信になり、どんな状況でもなんとか食いつないでいけるという気持ちにさせていました。結果的に、私はこの経験を支えになんとか耐え抜くことができました。事業も何とかまた黒字化になり、“引き”が強くなっていくのを感じました。

今のオークファンは、いわばここからスタートしています。

こうした経験をしてきたからこそ、細い糸をずっと手繰り寄せていけば、何かにつながると信じているのです。失敗が私を強くしたのでしょうね。

 

 

>>第4話「熱意こそ人を動かす」に続く

>第2話「起業家に欠かせない「直観力」の磨き方」に続く

>オークファンの公式ホームページはこちら

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DIMENSION 編集長

DIMENSION 編集長

「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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