目的があれば人はいつでも変われる 弁護士ドットコム 元榮太一郎会長(第6話 動画あり)

2017.12.26

いつかインターネットで弁護士を探す時代が来る。”一見さんお断り”がまだ当たり前だった今から12年前にそんな夢を描き、「弁護士ドットコム」を創業した元榮太一郎(もとえ たいちろう)氏。法律事務所の代表、上場企業会長でありながら現参議院議員という3つのキャリアを持つ元榮氏に起業家としての心構えやベンチャー企業の事業や組織について聞いた。(全6話)

次世代の起業家へのメッセージ

役割が変わるごとに、自分を変えられる意識の持ち方

―ゼロから1を作り出す“起業家”と、1を10にしていく“経営者”とでは、求められている能力、役割、スキルセットが違うと一般的にいわれています。元榮さんが起業家から経営者としてステップを上がっていく中で、役割やスキルセットが変わったと思うことはありましたか。

ありますね。やはり求められることは変わっていきます。

ゼロをイチにするところでは、自分自身がイノベーティブに、作りあげることを大事にしていました。

みんなを奮い立たせて事業を推進し、売上を作ることも自分が中心にやっていきます。

しかし、組織が大きくなるにつれて権限移譲が必要になります。メンバー一人ひとりが、いきいきと活躍できる環境作りや、理念や道徳を説くことが自分に求められるようになっていくわけです。

実際に、「感謝と謙虚な気持ちを忘れるな」と、月1回の社員総会では必ず話をするようにしています。

どちらかといえば、今の私の役割は語りかけること。あとは社員が自分達の力で事業を推進できるところにまで成長することができました。

―役割の変化に戸惑うことはありましたか。

私自身は役割が変わることに慣れているんです。弁護士として求められること、起業家として求められること、政治家として求められることとそれぞれの役割を全うしてきました。

それぞれの役割において何が必要なのかを知って、そのために自分をつくり変えるということが比較的得意なのだと思います。

もしかしたら、自分の役割を決めすぎる経営者の場合には、役割のチェンジに戸惑いを感じるかもしれませんね。

私は、目的のために生きているので、目的意識の中で、いくらでも自分を変えていくことができるのだと思います。

掛け算が自分独自の感性を作る

―元榮さんが得意とする複数の役割を持つということは、事業にどんなインパクトをもたらしていますか。 

多面性を持つことは、事業にも有効だと考えています。多面的な自分の掛け算をしていくことで、自分にしか持てない感性が生まれてきますから。同じ事実を見ても、感じ方が他者とは全然違ってくるわけです。

掛け算が増えていけばいくほど、同じ世の中に生きていても、他とは違う競争力を持つことができると実感しています。 

私は弁護士で起業家という掛け算からスタートしましたが、政治家などに掛けられるものはどんどん増えていっています。

自分しか知らない感性を持っている。そんな強みを活かしながら、弁護士ドットコムのサービスをさらに進化させていきたいです。

「専門家をもっと身近に」というミッションのバージョンアップ

―今後、弁護士ドットコムで成し遂げたいビジョンを教えてください。

弁護士ドットコムにより、弁護士という専門家を昔よりは身近な存在にできたと感じています。

これを皮切りに、徹底的に他の専門家や専門領域を身近な存在にしていきたいです。お金を持っていたり、大企業だったり。そういった一部の人しか利活用できない専門性というものをすべての人に開かれた領域に変えていきたいと思っています。

弁護士や税理士のほかにも、医師・獣医師・メンタル分野の専門家など、専門家にはいろいろな領域がありますよね。専門家による賢く幸せに生きるための知恵を、どんな人でも身近に利用できるような社会にしていこうと考えています。

現在は、法律とITを掛け合わせた「リーガルテック」と呼ばれる技術が劇的に進化する時代にさしかかっています。

その分野のリーディングカンパニーとして、さらに専門家を身近にしていきたいなと考えています。

―壮大なビジョンですね。

人生100年時代ですから、あと60年ぐらいビジョンに向かって仲間と共に頑張っていきたいと思っています。

ただし、第4話でもお伝えした通り、企業が大きくなると権限委譲は不可欠。少しずつその頑張り方は変化するはずです。

直近でいうと私は国会議員も兼務していますので、経験と知見が豊富な内田陽介という人物に社長を任せました。

私は創業オーナー、代表取締役会長という立場で、しっかりとこの会社の成長に世界一の関心と心血を注いでいきます。その上で私が会長となり内田が社長として引っ張っていく絶妙な役割分担が図られた弁護士ドットコムには、期待に胸膨らむ未来が広がっていると思います。

―最後に読者である20代、30代の起業家のみなさんにメッセージをお願いします。

すでに起業している方も、これから起業なさる方も、覚えておいていただきたいのは「起業で命までとられることはない」ということ。 

一度きりの人生、自分の気持ちに素直にチャレンジしてみてもいいのではないかと思います。

これからは、既存のルールから脱し、新しい価値が生まれていく時代。

みなさんが、それぞれ取り組んだ事業が、このベンチャー業界を元気にし、さらには日本全体を照らし、世界にインパクトを与えるものとなります。ぜひ共に、日本、そして世界を盛り上げていきましょう。

 

 

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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