真のグローバルカンパニーが持つべき基準とは AdAsia Holdings 十河CEO(第3話)

インタビュー|2017.10.13

2016年4月にシンガポールで設立された広告テクノロジー会社・AdAsia。同社は、シリーズAラウンドで1200万ドルの資金を調達した後、設立後1年でタイやインドネシア、そして日本にまで続々と拠点を広げている超注目株のベンチャー企業だ。今回は、そんなグローバル若手起業家の雄、AdAsia Holdings CEOの十河宏輔氏に急成長の秘訣などを聞いた。(全6回)

アジアから見た日本マーケットの「特異性」

──最近日本に進出されたとのことですが、日本攻略における戦略はありますか?

アジアという括りでいくと、インターネット広告において、日本はアジア第2位の規模のマーケットを持っています。

私自身も日本人なので、母国への思い入れが強いこともあり、日本を攻略するのは絶対マストです。

AdAsiaの強みはネットワークの強さです。アジア全域で、これだけ広くネットワークを張っている企業はなかなか無いと思っています。

特にグローバルにビジネスを展開している会社にとっては、グローバル一括でプロモーションができればそれがコストメリットになりますので、我々のようにアジアの至る所にネットワークを持っている広告会社とビジネスができるというのは、日本の会社にとっても非常にメリットが大きいのではないでしょうか。

動画広告やインフルエンサーマーケティングでは、ローカルのインフルエンサーやメディアと協力しながらやらないといけません。

拠点があり、優秀なローカル社員を抱えている我々だからこそ、クライアントに十分に満足していただけるサービスやプロダクトを提供できるので、日本マーケットにおいても確かな競争優位性を持っていると思っています。

加えて、日本の国内向けのプロダクトも整ってきたので、他の国でマーケットシェアを取っているように、日本でもしっかりと国内のシェアを確保していきたいと思っています。

──なるほど。アジア各国を攻略したのちに、改めて日本のマーケットを見た時に感じたことはありましたか?

一口にアジアと言っても、国によって全然違いますからね……。ただ、日本という国を客観的に見た時、アジアの中でもとりわけユニークだなと感じています。

──どうユニークなんでしょう?

たとえば、タイやベトナムでは、クライアントに提案する際の提案書を英語で作ります。もちろんローカルな言語は存在するんですが、グローバルな大企業を相手にするなら、それが普通です。

でも、日本では大企業相手でもそういうことはほぼないですよね。島国ということもあり、日本独特の文化や言語が大事にされています。異常なほどユニークなローカルマーケットだと思います。

世界展開においてローカライズすべきものと守るべきもの

──スタートアップ企業の考え方や環境も異なるんでしょうか。日本のスタートアップ企業の場合、まずは日本でビジネスの成功を狙う、というところが多い気がします。

それは日本というマーケットが大きいからじゃないでしょうか。

日本の中だけでビジネスをやっていても、ある程度の成功というか、ある程度の規模のビジネスを作ることができますよね。

まだ完全に成功したかわからないような未熟なビジネスモデルを、あえて横展開して各国でローカライズをしていくというのは極めてコストが高い上に、成功する保証も無い。その意味では、日本のスタートアップの経営判断としては妥当な判断とも言えます。

しかし、AdAsiaは最初からグローバル展開を前提としています。日本では珍しいかもしれませんが、国単位のマーケットがさほど大きくない東南アジア発のスタートアップとしては当然とも言えます。

──最初からグローバル展開を前提とされている中で、ローカライズはどのように考えられていますか?

我々もローカライズは大事なポイントとして捉えています。

それは間違いありませんが、それとは別にグローバル企業は自身の譲れないスタンダードを持つべきだと考えています。どの国で事業をやっていようが、ブレないスタンダードを持たないといけないんです。

──それは事業面でということでしょうか?それともマインドの面で?

両方です。

事業面から見た譲れないポイントもありますし、社員が心得ておかなくてはならない思想的な面もありますね。それは各国の社員に持ってもらうようにしています。

例えば、新しい国に進出した時、ローカル社員が言い訳でよくこう言います。「ここはタイだから!これはタイでは普通だから!」とか、「ここはフィリピンだから!」とか。

そういう話を聞いた時は「そうじゃないんだ、『タイだから』『フィリピンだから』じゃなくて、真のグローバルカンパニーを目指す『AdAsia』としてこれは譲れないんだ」と言うようにしています。

ローカライズすべき部分と、スタンダードとして持ち続けるべき部分。この線引きを明確にすることが、真のグローバルカンパニーにとって必要だと思います。

■十河CEOバックナンバー■

飽くなきハングリー精神でアジアNo.1を目指す (第1話)

どこの国でも勝負できる起業家になるまでの道のり(第2話)

 

 

>AdAsia Holdings公式HPはこちら

著者 小縣 拓馬

著者 小縣 拓馬

起業家向けメディア「ベンチャーナビ」 編集長。玩具会社のタカラトミーを経てDIに参画。ビジネスプロデューサーとして、主に国内ベンチャーへの投資・事業支援・戦略立案を担当。     ~「More than Meets the Eye」 これは玩具会社時代に担当していたトランスフォーマーというシリーズの代表的なコピーです。見た目だけではわからない、物事の本質に焦点を当てること。そんな想いで記事を提供していきたいと思っています。~

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