採用と営業に共通する「人を巻き込む極意」とは GA technologies 樋口龍CEO(第3話)

GA technologiesは、不動産業界をテクノロジーの力で改革する『Real Estate Tech』、通称ReTechの分野で、創業わずか4年半で売上100億円規模まで急成長中のベンチャー。中古不動産流通プラットフォーム「Renosy」などを提供している。そんなGA technologies代表取締役社長 樋口 龍氏に、起業家に必要な素養、組織作りなどについて聞いた。(全6話)

熱意を持って打席に立ち続ける

——樋口さんは起業家の3つの素養として、「ミッション・ビジョン」「仲間を集めること」「決断をすること」を挙げられていましたね(第2話リンク)。2つめの「仲間を集めること」について具体的にお教えください。

「仲間はいることが当たり前」のように教科書には載っていますけれど、本当は仲間集めこそ難しいし、大事なことですよね。

例えば、サッカーは1人ではできません。フォワードが得点をして、ディフェンダーがきっちり守って、キーパーが押さえて、コーチが選手に寄り添って、監督が戦略を考えて、ホペイロがスパイクを磨くという役割分担があり、みんなでチームとなっていく。全部のポジションでベストプラクティスにしていかないと、チームは強くなれない。

これは会社も同じ。いかに各ポジションで優秀な人達に働いてもらうことができるか。そして、その優秀な人達と1つの目標、ビジョンに向かって切磋琢磨していくことができるか。これに尽きるんです。

 

——その仲間集めを成功させるために重要なことは何でしょうか?

仲間集めに大切なことは、「言い続けること」でしょうね。セールスの交渉と同じだと思います。

交渉が上手くいかない人は、お客様に「やりましょう」と言えません。「断られてしまうんじゃないか」「嫌われてしまうんじゃないか」と勝手にモヤモヤ考えて、言ってみないとわからないことを言えない。

私がどうしてトップセールスになれたかというと、単純に「やりましょう」と口に出していたからです。これは擦りこみですね。あとは確率論、つまり何回交渉するかの問題なんですよね。

仲間集めも「擦りこみ」と「確率論」です。熱意を持って言い続けること、そして、場数を踏む、打席に立ち続けることが重要だと思います。

創業1年目から新卒採用を実施したワケ

——創業時に、採用で工夫された点をお教えください。

私は創業時に新卒採用から始めています。どこのスタートアップも創業時はプロフェッショナルな中途採用からスタートするものですが、私の場合は新卒採用からスタートした方が良い人材を採用できる確率が高いと思ったんです。

人を口説く時には熱量と実績と未来に対する戦略が必要です。ただ、新卒の方の場合は実績もそうですが、熱量がベースになることが多い。面白さとか、パッションとか、情熱とか、そういったもので会社を推し量っていて、創業時の実績がない中では、そこでなら勝負できると考えました。

 

 ——自分の戦えるフィールドはどこかを考え抜いて選んだのですね。ただ、新卒の場合、即戦力としては難しいかと思います。そこに苦労はなかったのでしょうか?

そこはもう、育てるしかないと腹をくくっています。つきっきりで1から10まで育てていくしかない。

私は、起業家には2タイプあると思っています。

タイプ1は、起業当時からクリエイティブで確かな経歴や実績を持った人。楽天の三木谷さん、ソフトバンクの孫さん、外銀出身とかITメガベンチャー出身の方達です。そういう人たちには会社として実績が無い段階でも今までのキャリアに信用があるので、採用面で人が集まりやすい。

タイプ2は、みなさん今でこそすごい方ですが、創業時キャリアがあったわけではない、日本電産の永守さんや、京セラの稲盛さんなどです。みなさん、採用面の共通項は、実績が無い人でも厳しく育てあげるという方針だったこと。いい人が採れるようになるまでは徹底的に育てあげています。

起業時から自分は、完全にタイプ2の方だとわかっていたので、そうなると、実績がでて優秀な人材が採用できるまで、とにかく人材を育てるしかないと覚悟を決めていました。

創業時はとくかくマネージメントは厳しかったと思いますね(笑)

自分でもいうのもあれですが、愛はあったと思ってもらえていると思います。なぜなら本気で、全員育てるんだって思ってましたからね。当然、それだけでは駄目なので、会社の成長後は優秀な中途の人達の採用も強化しています。

こういった戦略があったからこそ、成長のフェーズに合わせた採用戦略を進めることができたんです。

採用で重視するのは第一印象の人格

——採用時に人を見極めるとき、どういったところを重視していらっしゃいますか?

 採用で見るポイントは、3つあります。

1つめは、「いい人」

2つめは、「成長意欲が高いこと」

3つめは、「思考のハードワークができること」です。

一言でいうと「人格者」ということになるのかもしれません。会社は1人ではできないですし、1人でできることはたががしれています。組織で戦わないといけない。組織で戦うにはチームワークは必要なので、そうなると人格はとても重要ですよね。

更に、なぜ人柄や人格が重要かというと、私は能力は誤差だと思っているからです。本当の天才以外は、普通の人間の能力はほぼ変わりません。そう捉えると、本当に差が出てくるのは人間性の部分なんです。

仕事をしていればうまくいくときと、いかないときが絶対にある。波がない企業や波がない人はいないですからね。そうなったときも、人格者であれば会社に感謝できますし、お客様にも感謝できます。感謝を重ねていくと、いつかパフォーマンスにつながります。

長い目で見たときに人格者が成果を出すし、人格者が上司にならないと組織がおかしくなっていくということが言えるのです。だからこそ、人柄をすごく重視しているんです。

 

——成長意欲もやはり重要なんですね?

はい、「年5%成長したい」と思っている人か、「年100%成長したい」と思っている人かのどちらがいいかというと、絶対に後者です。

我々が目指しているのは年200%、300%の成長なので、少なくとも「年100%成長したい」と思っていないとついて来られません。年5%でいい人は、カルチャーフィットしなくなってしまうんですよね。なんでそんな高い目標掲げるんだってなってしまいます。

思考的ハードワークも同じで、スタートアップの場合には、本来1年かけてやることを3カ月くらいでやらなければいけません。そのためには、思考の量と行動の量を増すしか方法はない。だからこそ、その思考的ハードワークを厭わず仕事ができるかどうかが非常に重要なのです。

そうしたこともまとめて、カルチャーフィットしているかどうか、人格的に気持ちいいかどうかは、非常に重要ですよね。

 

——面接の際に、どのようにそれらのポイントを見ぬかれていますか?

第一印象ですね。顔に人格ってでるじゃないですか、運が良さそうとかも。

あとはやはり過去ですよね。今の人格って過去からの形成だと思います。過去にどういう人生を送ってきて、どういう家庭環境で、最初の職場の上司がどういう人だったのか、尊敬できる人だったのかとか。

考え方が一番重要で、その考え方を形成するのは過去の生活になると思っています。

 

 

>第4話「プロサッカー選手になる夢の挫折から身につけた『決断力』」に続く

>GA technologies公式HPはこちら

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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