LINE社長から起業。森川 亮氏が語る、起業家に重要な3つの素養 C Channel 森川 亮社長(第1話)

「日本を元気にしたい」と思った、LINE社長時代の体験

——起業家にとって重要な素養を3つあげるとすると何でしょうか?

まずは「ビジョン」です。

単純にお金儲けや成功したいというモチベーションだけでは、事業を長く続けることができません。長く続けるためには、周囲が共感する「ビジョン」が必要だと思います。

次に「事業力」も重要です。

どんなに良いことを言葉では言っていても、事業で儲けられなければ会社を潰してしまいます。起業家にはしっかりと事業を推進できる力が必要です。

最後に重要となるのは「誠実さ」です。

儲けるためだったら何をやってもいいわけではありません。周囲の人がついてくるのは「ビジョン」もありますが、それをやりきる人間性、「誠実さ」が最終的には必要不可欠です。ビジョンを掲げるだけでなく、そこに誠実に向き合い続ける姿勢が大切です。

森川 亮 C Channel株式会社 代表取締役社長。1967年神奈川県生まれ。1989年に筑波大学を卒業。日本テレビ放送網に入社。コンピュータシステム部門に配属され、ネットや衛星放送等の新規事業立ち上げに携わる。その後、ソニーを経て、2003年にハンゲームジャパン(後にNHN JAPAN株式会社、現LINE株式会社)に入社し、07年に代表取役社長に就任。2015年3月、同社代表取締役社長を退任し、同年4月にC Channel株式会社を設立。ファッション、コスメ、料理などのハウツー動画を提供する日本最大級の女性向け動画メディア『C CHANNEL』を運営。月間動画再生数は6億回。50%以上は海外での再生を占める。著書に「シンプルに考える」など。

 

——1つ目の「ビジョン」について、C Channelの創業時の「ビジョン」を改めてお聞かせください。

「日本を元気にしたい」というビジョンが根本にあります。そのことを意識したきっかけは、前職のLINE株式会社にいた頃のことです。色々な国にまたがって事業をやっていたのですが、事業のグローバル化が進めば進むほど、一緒にやる部下が日本人ではなく外国人になっていきました。日本人の能力・やる気が外国人と比べて相対的にどんどんと低下していく様を見て、「これはまずいな」と感じました。

LINEはそもそも韓国資本の会社でありグローバル企業なので、日本人ばかり登用するわけにはもちろんいきません。そのため、もう少し「日本びいき」できる会社を作って、「日本を元気にしたい」と考えたのが創業時のビジョンです。

その中で取り組む事業としては、「メディア産業を変えていきたい」と考えました。今のメディアは、政治や経済、著名人の揚げ足取りが多く、悪い出来事ばかり取り上げる傾向にあります。このようなニュースを見たり聞いたりしていては、自信もなくなり夢は持てません。もっと良い出来事や頑張っている人達を紹介するメディアを作り、ポジティブなメッセージを出すことで「日本を元気にしたい」と思っています。その入り口として、今、「C CHANNEL」をやっています。

簡単に儲からないし、敵も多い。だから自分がやる

——森川さんのこれまでのご実績であれば、起業以外にも選択肢が多かったように思います。

ありがたいことに、LINEにいた時は多くの会社から誘っていただきました。実際に、社外役員を引き受けたり、教育やファンドなどにも少し関わっていました。しかし最終的には、このメディア分野は自分がやったほうがいいのではないか、誰よりも自分がやれる、という想いで起業しました。当然、私一人の力ではなく、ビジョンに共感してくれる仲間や投資家がいたからこそ起業できたというのはあります。

 

——このメディア分野を「自分がやるべきだ」と思った経緯をもう少し詳しくお聞かせください。

事業としてのメディアは、簡単には儲からず、敵も多くてやりきるのが大変な領域です。それゆえに、若い経営者にとっては、事業を成功させるためのハードルが高いです。一定の人脈があり、ある程度信頼もあって、お金も集めやすい人がやらないと勝つのは厳しい領域なのではと思いました。

誰かがやらないと、社会の課題は解決しません。辛いし儲けにくい領域だからといって、誰もが避けていてはいけない。ここは私がやらなければ誰もやらないのではないか、と思い立ち上げました。

また、事業経営はLINEである程度やりきった、という自負もありました。だからこそ、自分がさせてもらった様々な経験を、今度はC Channelで次の世代に返していきたいなという気持ちでやっています。

チームが情熱を注げるビジョンを

——情熱を注げる「ビジョン」を見つける方法は何でしょうか?

私の場合は結構いい年なので、色々な経験をしている中で自然と見えてきました。

ただ若い人だと、口では「社会を変える」と言っていても、心の底では「お金儲けしたい」「成功したい」と考えてしまうことは往々にしてありますよね。仮に社長がビジョンに心から情熱を注げていない場合においては、「チームが共感できるビジョン」を作ることが重要だと思います。チーム全体として情熱を持つことができれば、最悪社長がダメでも、事業はうまく進みます。

もちろん理想は社長に強いビジョンがあって、自らのリーダーシップで引っ張っていくことです。しかし若い人は必ずしもそうはいかないと思うので、そういった場合は「チームが情熱を注げるビジョン」を意識すると良いと思います。

 

 

>第2話「ゼロからサービスを立ち上げる、起業家の事業力の磨き方」に続く

>C Channel公式HPはこちら

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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