困難を乗りこえ磨き続けた「起業家としての素養」 アトラエ 新居社長(第2話)

2018.08.14

求人メディア『Green』やマッチングアプリ『yenta』など、オリジナリティあるサービスを次々と展開し、成長を遂げてきた株式会社アトラエ。社員の意志を最大限尊重する組織文化でも知られ、2016年6月に東証マザーズへ上場、2018年6月に東証一部への市場変更も果たした。同社代表取締役の新居佳英氏に、起業家の素養や、組織文化のつくり方などを聞いた。(全6話)

新卒3年目で子会社社長への大抜擢

——起業家の素養(第1話リンク)として挙げられた「人間性」に関しては、どのように養われてこられたのでしょうか?

「人間性」に関しては、元から高かったわけではありません。

26歳の頃に前職のインテリジェンスの子会社社長をやらせていただいたこと、そしてリーマンショックの苦境を乗り越えたこと。この2つの経験によって養われた部分は大きいですね。

 

——「サラリーマンにはなれない」とおっしゃっていた新居さんが、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社し、働き続けることが出来た理由はなんだったのでしょうか?

最終面接で、当時社長だった宇野さんに「1年で起業しますが、それでもいいですか?」と聞いたら、「面白いね、いいよ」と言っていただいたのが入社の理由です。その後、結局インテリジェンスには子会社社長も含めて5年半在籍しました。

1年で辞めずに続けた理由は、1年では自分でビジネスが作れるイメージが持てなかったということです。これは修行不足だと思い、続けることにしました。2年目の時に「自分でもできる」という実感を得た瞬間がありました。そこからは、週末はいつも事業計画ばかり書いていました。そうしていたら、その動きが何人かの同僚にバレてしまい、社長室に呼び出されてしまったんです。

そうして、社長に「お前色々動いているらしいじゃないか」と聞かれました。「はい、あと2、3ヶ月で辞めようと思います」と言ったら、「それなら、子会社社長をやれ」という話を逆にいただきました。結果的に、新卒3年目の最初から、いきなり子会社社長になることになりました。

人の人生を背負う中で身につけた「人間性」

——インテリジェンスの子会社社長時代のご経験もお聞かせください。

子会社社長は擬似的な起業体験でした。自分の給料は自分で決めていましたし、社員の給料や採用、社名、オフィスなども全て決めていました。インテリジェンス側は一切口を出さないで自由にやらせてくれたので、すごく勉強させてもらいましたね。

その時に身につけたのが「人間性」です。社長として、人の人生を預かる経験をする中で、「自分だけが成功することになんの意味もない。みんなが幸せになってくれないと」と強く感じたんです。リーダーとは、そういうものだと。

もともとガキ大将キャラだったのでリーダー気質ではあったのですが、「近しい仲間だけを幸せにする」という考えから、社長になって幸せにしたい仲間がどんどんと増えていった。その過程で、利己的ではない、経営者としての「人間性」が磨かれていったように思います。

 

——一見、順風満帆なキャリアに見えますが、そこから起業された理由はなんだったのでしょうか?

子会社社長時代は、「関わる人を幸せに」出来ていたんですね。社員もみんなイキイキと働いてくれていたと思います。

しかし、あるタイミングで、私が本社の一番大きな事業立て直しのために、本社に呼び戻されたんです。200名くらいの部下をもつ事業責任者になり、さらには立て直し人材として子会社で集めた優秀な人材に戻ってきてもらうために、泣く泣く子会社の吸収合併も実行しました。

親が調子悪い時に子が元気でも仕方ないので、その責務を全うし1年で立て直しを実現させたのですが、そこで改めて「志」を振り返りました。

インテリジェンス本社は、すごい組織ピラミッドが出来上がっている会社で、私がイメージしていた組織像とは少し異なっていました。私は、働く人たちがメチャクチャ楽しくて、イキイキとしていて、関わる人がみんな幸せになれるような組織を作りたい。そう強く思い直しインテリジェンスを退職し、起業しました。

起業家の素養は困難なときほど問われる

——お話から古巣のインテリジェンスに対しても、仁義というか、「人間性」を大切にされていることが伺えます。

それは絶対条件です。余談ですが、私は前職のインテリジェンスから人を一人も引き抜いたことはありません。これも、前職に対して仁義を貫いている一例です。他にも、創業当初はインテリジェンスと競合するHR領域のビジネスは避けていました。ただ、餅は餅屋で、どうしてもHR領域のビジネスを色々と思いついてしまうんですね。

これは避けていてはダメだということで、『Green』の立ち上げ前にはインテリジェンスの当時の社長である鎌田さんに「申し訳ないですけれど、HR領域の事業を立ち上げます。必ず恩返ししますので。」と言いに行きました。こういう順序は大切だと思っています。

「人間性」や「仁義」なき人に、人はついてきてくれません。他の人に対してずるいことをやっている経営者って、社員からすると自分もいつか裏切られるかもしれないと思ってしまいますよね。これでは信用してもらえません。事業の調子がいい時は人はついてくるかもしれないけれど、そうやって近づいてきた人は調子が悪くなるとみんな離れてしまいます。困難な時ほど経営者の「人間性」や「仁義」が問われると思います。

 

 

>第3話「新規事業をつくるために必要不可欠な「誇り」とは」に続く

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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