たとえ失敗しても事業が変わってもブレない理由 マイネット 上原 仁社長(第2話)

「100年成長する会社にする」と決めた

――起業家に大切なものは誠実さ、熱量、そして3つ目が意志ですね。

やると決めたらやる。理念や事業を決める前に、自分の人生を通してコミットする物を決める。それが私のいう「意志」です。私の場合は「マイネットを100年成長する会社にする」、「集まるみんながワクワクしながらキャリアを築き上げていく会社を創る」と決めたわけです。

この意志が根っこにあるコンセプトで、起業家としての一番の源泉なんです。マイネットを100年成長する会社にするんだ、集まるみんながワクワクしながらキャリアを築き上げていく会社を創るんだというコンセプトは、松下幸之助さんの「松下電器は電気製品を作る会社ではありません。人を作る会社です」という趣旨の言葉を読んで、体にビビビビと稲妻が走ったのがきっかけですね。

その「やると決めた」ことを達成するためにどうしなければならないか、という原理原則に基づいて理念やミッション、事業ドメインを組み立てていきました。

マイネットを100年成長する会社にすると決意した。では、人にとって「100年経っても変わらない大切なもの」はなにかを考えました。そう問う中で、とてもプリミティブなものに立ち返りました。人にとって大切なものは人だし、それは100年たっても変わらない。人と人のつながりの間に生まれる共鳴や共感、刺激、感謝などの様々な感情は100年経っても朽ち果てることがないし、人が生きていくうえで最も価値の高いものだ、と。

そういう価値を生む人と人のつながりは朽ち果てることはないし、それを生み出し続ける仕組みをつくれたら、「100年成長する会社にできる」という風に考えています。

では、ここまで述べてきたようなことを企業として実現するには、どういう事業ドメインにすべきか。そういう考えのもとで選んだのがオンラインです。オンライン化社会がこれから先100年も成長し続けるというのは、100年経たないと証明ができない。正直、誰も答えを持っていないですよね。けれども、そこに賭けると決めたのは私の「意志」ですね。

「我思うゆえに我あり」という言葉にあるように、すべての礎にあるのは「意志」です。意志に基づいて理念、事業ドメイン、経営方針、組織のあり方を決めていくからこそ、どんなに失敗してもブレない。どれほど事業が変遷しても、この意志だけはブレないものだと思っています。

私はマイネットを100年成長する会社にすることに人生をかけています。命をかけています。よく話していますが、それができないと諦める時は、私が死ぬ時だと思っているのです。それくらいの決意を伴う「意志」が起業家にとって重要だと思います。

 

「壊れたテープレコーダー」と言われても、何度でも

――メンバーとのコミュニケーションで悩まれている起業家も多いです。上原さんの工夫をお聞かせください。

少し抽象的な言い方になるかもしれませんが、実際に事業を行っていくうえでは、原点となる「意志」をベースにして、周辺の論理構造、例えばミッションや組織構造を作っていくわけです。その構造に関して言語化できたものについては、ひたすら同じことを言い続ける。ひたすら。それ以外ないと思います。

もちろん、60人から300人の組織になると会話の粒度に若干の大小はある。300人全員に伝わる粒の大きさというものがあります。ただ人数が増えようと変わらないのは、意志と、意志に基づいて作り上げた論理構造を基にして言語化したものを、100回でも1000回でも1万回でも言い続けることです。

結果的に、その意志と構造の結節点をみんなが1万回聞いて共有されると、その結節点の間の部分はマネージャーやメンバーで埋めていけるんです。意志と意志に基づく構造の共有が重要なんです。

 

――その話は直接する場合もあれば、遠隔みたいな形でやることもあると思いますが、さすがに組織が300名を超えると全員が一度に集まるのは大変ですよね?

週1回やっていますよ。

 

――すごいですね。直接対話はそれだけ大切だとお考えですか?

これは人のタイプによると思います。私は日本語がそんなにうまくないので笑、熱量と共に伝えないと伝わらないと思っています。各オフィス、300人規模でのミーティングは毎週行っていますし、この前はマイネットグループ全員を集めて600人規模でミーティングをやりました。600人全員に向かって「うわー」という元気玉、かめはめ波を出している状態で伝えるからこそ伝わるものがあるのです。笑

 

――どうやって仲間を引っ張っていくか、仲間を幸せにするかに関して、上原さん流のリーダーシップはどのようなものでしょうか?

私のリーダーシップのスタイルは、言葉を共有して引っ張るリーダーだと思います。先ほど話した、社会に対する価値、真摯に考えた自らの意志、そこにこもっている熱量。これをとにかく周りに発信し続けることですね。

私はメンバーから「壊れたテープレコーダー」と言われることがあります。笑

それくらい同じ意志、理念、価値を言葉として伝え続ける。たぶん、言葉としてだけではなく、自分の誠実さ、熱量、意志をあらゆる自分の生き様で表現していて、それがにじみ出ていると思います。

 

 

>第3話「600名企業の上原流・組織論」に続く

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DIMENSION 編集長

DIMENSION 編集長

「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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