組織論における「目に見えないもの」の重要性 アカツキ 塩田元規CEO(第4話)

2010年の創業以来、モバイル/スマートフォン向けゲームでヒット作を数多く手がけ、成長を遂げてきた株式会社アカツキ。2016年3月に東証マザーズ上場、2017年9月には東証一部への市場変更も果たした。同社を牽引する代表取締役CEO 塩田元規氏に、起業家の素養や組織づくりのポイントなどについて聞いた。(全6話)

創業期は「裏切らない」仲間だけを集めた

――創業期の仲間集めで意識されたことについてお聞かせください。

正直にいうと、創業期は人を選んでいる余裕など無かったので、メンバーはみんな友達でした。当時はmixiで、友達に「ひま?」と聞いていく感じでしたね。(笑)

ポイントは、いきなり「うちの会社に入らない?」と聞くのではなく、「ひま?」と聞くこと。(笑)創業期から片手間に手伝っていたら、こっちの方が楽しいから結果的にアカツキに入社してくれたという成功例がいくつもあります。

選んでいる余裕はなかったものの、「裏切らなさそうな人」に声をかけるということは強く意識しました。裏切る人というのは、「この一瞬で関係性が終わってもいい」と考える人です。逆に、仕事抜きにしても、ずっと一緒にいられるような人は裏切りにくい関係性を築けます。

当時、求人媒体に広告を出して採用した人は、うまくいかずに辞めてしまいました。創業期は特に少数の組織ですので、信じられる仲間を集めることの大切さを感じていました。

 

人材採用で重要な「惹きつけ方」と「選ぶ基準」

――続いて、成長期の仲間集めについてお聞かせください。

仲間集めにおいては「惹きつけ方」と「選ぶ基準」の2つが重要となります。

まず、「惹きつけ方」に関しては、採用に経営者自身が時間を使うしかないと思います。求人広告で採用できるような層と、そのような仕組みで採れない層というのが明確にいて、後者の層というのは経営者が熱量を持って直接口説くしかありません。特にベンチャーは、経営者のエネルギーが会社のエネルギーのほぼ全てです。ですので、採用に関してはどんなに忙しくても、経営者自身が優先度を上げてやるべきだと思います。

 

――「選ぶ基準」についてはいかがでしょうか?

アカツキの「選ぶ基準」は、能力よりも人格とスタンスを重視しています。能力は高いけれど人格的にダメな人は、絶対に採用しません。

人格というのは、いくつか要素があります。まず大前提は「いい人」であること。Googleでいうところの「Don’t be Evil. Do the Right Thing.」でしょうか。その上で、自分の人生は自分で生きたいという「自律心のある人」。

アカツキは、基本的には人をコントロールしたくない、自主自律を前提とした会社です。会社はプラットフォームであり、場であるという考え方を持っています。したがって、誰かの指示を待つ人よりは、「自律心」をもって自由に動ける人がフィットします。

まとめると、人格的には「いい人」で「自律心のある人」を選ぶようにしています。

次に、スタンスにおいて重要視しているのは、まずは「対自分力」。自分を変えて成長していきたいという意志です。次に重要なのは「対課題力」。これは、課題と向き合う際のスタンスです。そして最後に「対人力」。どう人と向き合うかのスタンスです。

この3つのスタンスを重視して、採用する人を選ぶようにしています。

 

「ロジカル」と「エモーショナル」を統合させる組織運営

――能力よりも人格やスタンスを重視するようになったきっかけは何でしょうか?

能力重視で採用して、組織崩壊を招きかけたことがありました。能力的に優秀な人が集まれば結果が出るはずなのに、実際はそういかなかったんです。

組織というのは因数分解できないもので、「要素を集めたらこうなる」ものではなく、「要素間の関係性も含めてのシステム」です。この関係性を経営者がいかに理解しているかが重要です。

「うちの会社はロジカルな組織」と割り切るのは簡単。逆に「エモーショナルな組織」と割り切るのも簡単。難しいのは「ロジカルとエモーショナルを統合させる」こと。この関係性を統合させられる経営者はすごいと思います。

 

――優秀な経営者は「感じられる」経営者という話(第2話リンク)に通ずるものがありますね。

そうですね。一般的に、人はロジカルな方向に引っ張られやすい。ロジカルなものは誰でも見えるからです。でもエモーショナルなものは見えない。本当に素晴らしい経営者というのは、そういった目に見えないものが見えている人だと思います。

会社において、見た目の事業の好不調や存続はもちろん大事だけれど、売上や利益は一時的なものです。その反面、最後まで残るのが「人」であり、一番残さないといけないのも「人」です。このエモーショナルな部分がないと、会社には何も残りません。

事業が変わっても、メンバーが会社の文化や想いに共感している状態を続けること。そのために、人格やスタンスがマッチした仲間を集めること。これが組織をつくるうえで、最も重要なことだと思います。

 

 

>第5話「急成長の時こそ、決して忘れてはいけない「真摯さ」」に続く

>アカツキ公式HPはこちら

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著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社NTTドコモに入社。 NTTドコモでは、SI事業のプロジェクトリーダーとして、金融・医療業界を中心にソリューション提案/開発業務に従事。その後、法人向けブロードバンドサービスの戦略策定業務を経てDIに出向。DIでは国内ベンチャーへの投資、事業支援に取り組む。

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