ステージに合わせて、変化し続ける起業家の役割とは ウェルスナビ 柴山和久CEO(第2話)

サービス開始からわずか2年2ヵ月で預かり資産1,000億円・申込件数13万口座と、国内No.1のロボアドバイザーサービスとして急成長を遂げた「WealthNavi」を運営するウェルスナビ株式会社。同社代表取締役CEOの柴山和久氏に、起業家の素養や、急成長サービスを生み出すためのポイントなどを聞いた。(全6話)

ステージが変わると、起業家に求められる役割も変わる

――起業家の素養(第1話リンク)の3つ目、「自分を成長させ続ける力」の重要性を感じた経験をお聞かせください。

事業や会社のステージに合わせて、起業家の役割は変化します。前のステージでは良しとされた行動が、次のステージでは全て裏目に出る、ということもよく起こります。

わかりやすい例を言うと、起業時のWealthNaviのプロトタイプは私が作りました。TECH::CAMPというプログラミングスクールの短期集中講座に通って、自分の意思でデザインも全て決めていきました。

そのように、まだエンジニアがいない中でも私自らが手を動かし、プロトタイプを作ったからこそ、紙だけでプレゼンしていた時とは全く違う反応を投資家の方々から得ることができましたし、実際に創業から半年で6億円の資金調達を実現することができました。

ところが、優秀なエンジニアがメンバーとして加わった後には、私は一切コードを書くようなことはしていません。

 

――柴山さん自らがプロトタイプを作られた一方、その後のプロダクトの開発には柴山さんは関わらないようにされたのですね。

その通りです。ここまで急成長するプロダクトが作れたのは、取締役CTO&CPOの井上を中心とした開発メンバーの功績です。むしろ、私がプロトタイプで書いたコードは「技術的負債」として抹消されてしまっています。(笑)

ついついデザインのことなども口出ししたくなるのですが、私が感覚的に言うことよりも、優秀なメンバーが様々な検証に基づいて作るものが正しいのは当然です。この成長フェーズでは、起業家は自分のエゴをおさえて、メンバーに事業を任せる判断が重要となります。

このように、創業時の「ゼロイチ」フェーズでは起業家として正しかった行為でも、少しフェーズが変わると真逆の行為が求められることがたくさんあると感じています。

 

「起業家」から「経営者」に変わる瞬間

――組織作りにおいてもフェーズごとで起業家の役割は異なるのでしょうか?

はい。最初は起業家がハンズオンで細かく事業に介入することが求められます。しかし、ある程度成長してきた時期からはマネージャーや現場メンバーに任せる組織作りをしないといけません。

私たちの場合は創業から2年が経った頃に、「50人の壁」として組織作りの転換点がありました。その際には、マネージャークラス以上のメンバーを集めて合宿を行ない、我々のビジョンや組織のあり方について議論をしました。

このように、組織の転換点を起業家が捉え、自らの役割を意識的に変化させないといけません。

 

――「起業家」から「経営者」に変化する、ということかもしれませんね。

アメリカでよく見られるのが、スタートアップが成長する過程で創業者が会社を抜けて、外部からプロ経営者を招聘するパターンです。例えばアップルも一度スティーブ・ジョブズを追放していますよね。

スティーブ・ジョブズの場合は追放された後もピクサーなどの成功を経て、「経営者」としての能力を成長させたからこそ、アップルに戻った後も活躍できたのだと思います。

日本の場合はプロ経営者の人材プールがほとんど無いので、基本的に創業者がそのまま経営するしかありません。そのため、特に日本の起業家は、「自分が成長し続ける」意識を持つことがとても重要だと思います。

 

 

>第3話「国内No.1の資産運用ロボアドバイザーが生まれるまで」に続く

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著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社NTTドコモに入社。 NTTドコモでは、SI事業のプロジェクトリーダーとして、金融・医療業界を中心にソリューション提案/開発業務に従事。その後、法人向けブロードバンドサービスの戦略策定業務を経てDIに出向。DIでは国内ベンチャーへの投資、事業支援に取り組む。

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