国内No.1の資産運用ロボアドバイザーが生まれるまで ウェルスナビ 柴山和久CEO(第3話)

日米で感じた資産運用サービスの格差

――あらためて起業したきっかけをお教えください。

私は財務省を退職した後にマッキンゼーに入り、最後の一年半ぐらいはニューヨークで機関投資家の10兆円規模の資産運用をサポートしていました。金融工学の専門家たちと一緒にアルゴリズムを作り、自動運用システムも構築しました。

そんな折、シカゴにある妻の実家に帰省した際に「私たちの家族の資産運用もサポートしてほしい」と義父母に言われ、資産内訳を見て衝撃を受けました。一般的なサラリーマンの家庭なのに数億円もの資産があったのです。

理由を聞いてみると、会社の福利厚生で若い頃から富裕層向けの資産運用サービスを使い、30年ほど世界中の債権や株式に分散投資してきた結果、資産が億を超えるほどに成長したとのことでした。

一方で、日本にいる私の両親を見ると、同じような職歴と年齢にも関わらず、アメリカの義父母と比べて10分の1しか資産がありませんでした。私の両親も、若い頃から資産運用サービスを利用できていれば、10倍以上の資産になっていたかもしれない。富裕層だけでなく、誰でも安心して使える資産運用サービスがインフラとしてあればいいのに。そう思い、起業を志すようになりました。

 

――日本ではまだまだ資産運用の概念が広がっていないように思います。

「長期・積立・分散」というのは資産運用の王道ですが、この有効性についてあまり日本では知られていません。日本で資産運用する多くの人が短期的な投資、投機的な投資に集中しています。結果、FXの年間取引額は5000兆円を超えているにも関わらず、個人資産の半分以上が預金で眠っているといういびつな資産構成になっているのが日本の現実です。

我々の作るサービスで、多くの人に「長期・積立・分散」の資産運用インフラを提供したい。それが私が起業した理由であり、ウェルスナビのビジョンにもなっています。

 

「まずプロダクトを出してみる」ことの重要性

――WealthNaviは市場にいち早く参入し、サービス開始からわずか2年で国内No.1のロボアドバイザーサービスとなりました。急成長するサービスを生み出すためのポイントをお聞かせください。

よくプロダクト・マーケット・フィット(PMF)と言われますが、先行サービスが無い中ではとにかく早く世にプロダクトを出してみて、お客様のニーズを確認することが重要です。

一番やってはいけないのが、企画に時間を使い過ぎること。前例が無いからこそ、何が正しいかはロジックではわかりません。ですので、とにかくプロダクトを世に出してみて、お客様の反応を見ながらプロダクトを磨き上げていくことが重要だと思います。

 

――WealthNaviは具体的にどのようにPMFをされましたか?

WealthNaviの場合、初期は数十人を招待する形でサービスをスタートし、ユーザーの声を聞いていきました。

初期のプロダクトは今から考えるとかなり恥ずかしい状態で、ランディングページにはなぜか「白いソファー」の写真。この状態で100万円預けてくださった人たちはすごいですよね。(笑)そんな恥ずかしい状態でしたが、リアルなユーザーの声を聞いて本当に良かったと思っています。おかげさまで、半年後には現状にかなり近い状態にまでプロダクトを磨き上げることができました。

ここで気をつけなければいけないことは、「実際に使っていただいているユーザーの声」を聞くことです。例えば、まだ使われたことのない方の「ここを改善したら使う」という言葉は、本当に改善点を示す言葉なのか、使うことを上手く断る理由としての言葉なのか判断がつきません。言葉の「真意」を捉えることが重要です。

とにかく早くサービスをスタートし、ユーザーの声の「真意」を捉えてプロダクトを改善していくこと。これがサービスを成長させるうえで重要だと思います。

 

 

>第4話「大企業との提携に重要な「ビジョンの共有」」に続く

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著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社NTTドコモに入社。 NTTドコモでは、SI事業のプロジェクトマネジャーとして、金融・医療業界を中心にソリューション提案/開発業務に従事。その後、法人向けブロードバンドサービスの戦略策定業務を経てDIに出向。DIでは国内ベンチャーへの投資、事業支援に取り組む。

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