25歳FinTech起業家が考える、起業家に大切な3つの素養 ペイミー 後藤道輝CEO(第1話)

「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」をミッションに、給与即日払いサービス「Payme」を提供している株式会社ペイミー。2017年11月の正式リリース以来、約半年で導入企業100社を突破し、FinTech界でも注目を集めている。同社の代表取締役CEO後藤道輝氏が考える起業家としての素養や事業立ち上げのポイントについて、Venture Navi 編集長であり、同社の社外取締役も務めるドリームインキュベータ の下平将人が聞いた。(全5話)

最終的に差別化の源泉は「人間性」に行き着く

下平:最初にベンチャーナビお決まりの質問をお伺いしたいと思います。後藤さんが思う「起業家にとって重要な素養を3つ」挙げるとすると何でしょうか?

後藤:何よりもまずは「人間性」、特に他人を素直に尊敬し周囲からも尊敬される「尊敬力」が重要です。その上で、どんどんと行動して事業を創りあげていく「突撃力」、そして大きな市場を自ら定義してNo.1を目指す「優勝力」が起業家には求められると思います。

 

後藤道輝(ごとう みちてる)株式会社ペイミー 代表取締役CEO/1992年東京生まれ。慶應義塾大学を卒業後、ベンチャーキャピタルのEast Venturesでベンチャー企業への投資、メルカリ・CAMPFIREへの出向などを経験。その後DeNAに中途入社し戦略投資に従事したのち、2017年7月に株式会社ペイミーを設立。給料即日払いサービスアプリ「Payme」を同年11月に正式リリース。

 

下平:後藤さんらしい、素敵な表現ですね。もう少し一般的な言い方をすると「尊敬力=人間性」、「突撃力=実行力」、「優勝力=ビジョン力」とも言えそうです。

 

下平将人(しもだいら まさと)株式会社ドリームインキュベータ(DI)  国内ベンチャー投資・上場支援担当/1986年長野生まれ。慶應ロースクールを卒業後、法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、株式会社ペイミーの社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属し、クリエーターの無料法律相談を担当。

 

後藤:おっしゃる通りですね。一般的なビジネスマンに必要とされる「コミュニケーション力」や「地頭」といった能力は、起業家界ではコモディティ化しているため差別化できません。起業家の素養として挙げた「突撃力=実行力」と「優勝力=ビジョン力」でさえも、併せ持つ人がたくさんいます。

そうなってくると、最終的に差別化の源泉となるのは倫理観や使命感といった「人間性」になると思うんです。私もまだまだ成長途上ですが、常に謙虚に学び、周囲から尊敬されるような懐の深い「人間性」を身につけていきたいと思っています。

 

下平:特に「人間性」が重要と感じられるようになったきっかけは何かあったのでしょうか?

後藤:まずは前職のDeNA投資チームでの学びが大きいです。

チームでは、「プロダクト」「KPI」「ヒト(経営者)」の3要素を重視して投資可否を判断していました。そしてそこで、沢山の優秀な起業家にお会いできた経験が、自分の糧になっています。

 

「事業拡大」と「組織拡大」で求められるスキルの違い

下平:なるほど。投資する側から投資される起業家側になってみて、初めて感じられたことも多かったのではないでしょうか?

後藤:そうですね。投資家だった頃は「プロダクト」や「KPI」といったものが多く見えていたのに対し、実際に起業家になってみると、対人コミュニケーションなど「ヒト」としての能力が問われる仕事が全体の8割以上を占めていました。

例えば、どのベンチャー企業にも組織拡大時の課題として「30人の壁」や「100人の壁」があると言われますよね。投資家だった頃の私はその話を聞いて、起業して事業拡大していけば、自動的に組織も大きくなっていくものだと勘違いしていました。

でも実際には、「事業拡大」と「組織拡大」はまったく別のスキル。初期の事業拡大は市場成長やプロダクトの優位性に紐づきますが、組織拡大は経営者の器に紐づきます。経営者の人としての器がボトルネックになるのです。ですので、起業前と比べて、より「人間性」の重要性を痛感しています。

 

下平:起業家としての「人間性」をどのように磨こうとされていますか?

後藤:まだ私も答えがわかっていない中ではありますが、一つ言えることは「結果を出し続けること」。結果が信頼を生むし、尊敬にもつながると思っています。

わかりやすい例でいうと、資金調達においても言葉だけではなくプロトタイプを作っていると、投資家の信頼を得やすいですよね。

ではその結果をどうやって作るかというと、創業初期は社長自身がいろんなところに「突撃」して実績を積み上げるしかありません。そこにブレない「ビジョン」があれば、自ずと尊敬される「人間性」も身についてくるのではないでしょうか。

 

下平:なるほど。「人間性」を高めるために、起業家の素養として挙げられた「実行力」や「ビジョン力」が必要となるのですね。とはいえ、「鶏が先か、卵が先か」の関係のように、最初に結果を出す上でも「人間性」は求められるのではないでしょうか?

後藤:おっしゃる通り、そこが難しいところです。なので、今できることとして常に意識しているのは「尊敬する起業家だったらどう判断・行動するか」という客観的な視点を持つこと。例えば創業時に出資してくださった起業家の皆さんや、尊敬する方々の意識を徹底的にトレースするようにしています。そのために、超地道な方法ですが、尊敬する人のツイッターのツイートや「いいね」は全てチェックしています。(笑)

 

価値観を明確な打ち手に昇華させる「ビジョン力」

下平:3つ目の素養である「優勝力=ビジョン力」が身についたきっかけをお聞かせください。

後藤:これは再現性が無いかもしれませんが、子供の頃に受けた教育の影響が大きいと思っています。

私の父は消防士で母は看護師。共通して「人助け」をする職業だったため、小学生の頃の夢は医者か弁護士か消防士でした。中高で英語を学ぶうちに、その思いが「英語×人助け」へと転じて、国連で働きたいと思うようになります。その流れで大学では国際協力や海外ボランティアを経験したのですが、途上国に井戸を一個作るよりも、起業家か投資家になって事業を作ったほうがインパクトは大きいと感じるようになりました。

 

下平:「人助け」を軸に、打ち手が変化してきたのですね。

後藤:はい。お金に対する価値観も、私の大学での原体験が根底にあります。

私はサークルを続ける資金稼ぎのためにバイトをしていたのですが、サークルのメンバーの中には働いていないのに自由に時間・お金を使える人がいました。そんな大学生程度の機会損失であれば、手元の3万円や5万円でも解決できることが多いはずです。「バイト代が早くもらえる」方法があれば随分と助かるし、そもそも給与は働いた翌月末に一括払いされる画一的な世界観自体が不自然なんじゃないかなと感じました。

そんな原体験が、ペイミーのビジョンである「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」につながっています。

誰もが人生の軸となる価値観や原体験を持っているはずです。それをただぼんやりと考えるのではなく、明確な打ち手・ビジョンにまで昇華させられるかどうかが、起業家には必要な力だと思います。

 

 

>第2話「「事前準備がすべて。」1,000個以上のビジネスを研究して出した答えとは」に続く

>ペイミー公式HPはこちら

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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