「事前準備がすべて。」1,000個以上のビジネスを研究して出した答えとは ペイミー 後藤道輝CEO(第2話)

「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」をミッションに、給与即日払いサービス「Payme」を提供している株式会社ペイミー。2017年11月の正式リリース以来、約半年で導入企業100社を突破し、FinTech界でも注目を集めている。同社の代表取締役CEO後藤道輝氏が考える起業家としての素養や事業立ち上げのポイントについて、Venture Navi 編集長であり、同社の社外取締役も務めるドリームインキュベータ の下平将人が聞いた。(全5話)

「創業前に1,000個以上はビジネスモデルを検討した」

下平:創業期のゼロイチフェーズにおいて、事業を立ち上げるためのポイントをお聞かせください。

後藤:ゼロイチで事業を立ち上げる上では「間違ったビジネスモデルを選択しないこと」が非常に重要だと思います。安易に起業するのではなく、徹底的にリサーチをして事業選定を行なうべきです。

 

下平:後藤さんもリサーチの上で「Payme」の給与即日払いサービスを選ばれたのですか?

後藤:そうですね。ベンチャーナビの読者の方ならご存知かもしれませんが、「クランチベース」という海外スタートアップのデータベースで、ビジネスモデルを1,000個以上比較検討し、日本での成功可能性の高そうなテーマを10個まで絞りました。

 

下平:どのような基準でビジネスを評価されたのですか?

後藤:「日本にまだ無いが、確実に市場があること」「なんらかの構造的な優位性が担保されるビジネスであること」「法規制をクリアできそうなこと」といった軸で優先順位をつけました。

また、北米の有力なベンチャーキャピタルがシード出資している案件を常にチェックし、先行している市場のビジネストレンドを研究していました。現在日本で成功しているベンチャーの多くは、海外で既に成功しているモデルにインスパイアされていることが多いんです。

ただ最終的には「自分がやりたいことか、やるべきことか」という軸でテーマを1つに決めました。

給与即日払いサービスの「Payme」に関しては、自分自身がマイクロファイナンスを勉強したことや、ベンチャーキャピタルに勤めた経験を一番活かすことができます。そしてなにより「資金による機会損失を無くす」という自分のビジョンとも合致したため、この事業を選択しました。

 

一瞬で投資を決めてもらえるプレゼンのポイント

下平:創業1年足らずで5億円以上の資金調達に成功されています。シード・アーリー期の資金調達におけるポイントもぜひお聞かせください。

後藤:起業家の素養(第1話リンク)でもお話ししましたが、まずは「結果」を示すことが最も信頼を獲得する近道だと考えています。

例えば「Payme」はシードラウンドにおいても、イメージだけでなく実際のプロトタイプを作って資金調達を行いました。少しでもいいから形になっていることで、相手の関心度は全く異なってきます。

それに加え、「自分にしか無いインサイト」を言語化し、ちょっとの瞬間でもアピールできる、いわゆる「エレベーターピッチ」を徹底的に練習しました。例えば、弊社の創業時の投資家の方には、イベントで私がスタッフをやっていた際にたまたま通りがかった瞬間を狙ってピッチし、その場で投資を決めてもらいました。

 

下平:「自分にしか無いインサイト」とは、例えばどのようなことなのでしょうか?

後藤:「Payme」の場合、先ほどお話しした徹底的なリサーチをもとに、「海外でこのビジネスが上手くいっている理由/日本でもマーケットがある理由/ただしそのモデルをそのまま日本でやっても上手くいかない理由」をロジカルに説明しました。その上で、自社サービスの優位性や、自分自身のモチベーションの源泉を熱くアピールしました。

 

下平:最初、後藤さんのピッチを聞いた時、さすが元投資家だけあって、投資家が欲しい情報を端的にまとめられているという印象を持ちました。

後藤:相手が何に興味を持っているか考えることは重要ですね。シリーズAの資金調達では、リサーチの情報よりも「KPIの成長度合い」や「ユーザーの声」、「チームメンバー」など、サービスがスケールするために重要な内容をアピールしました。

このように、フェーズごとで投資家が欲する情報を端的に伝える努力をしたことが、資金調達につながったのだと思います。

 

株主との関係構築でも鍵となるのは「事前準備」

下平:次に、資金調達後に株主から力を引き出すコツをお聞かせください。

後藤:これも「事前準備がすべて」で、投資していただく前に協力してほしい内容を握っておくことに尽きます。

例えば弊社はシードラウンドの際に、出資していただいたある投資家の方が立ち上げるファンドの1号案件を意図的に狙っていました。その方が人として信頼できるのに加えて、ファンドの立ち上がり直後であれば次ラウンドでの出資も事前に交渉しやすいからです。実際、その方はシリーズAの際にも追加出資してくださいました。

 

下平:ファンドの谷間といった特性を理解した上で交渉したのですね。

後藤:こういった特性は普通の若手起業家だと知らない内容なのかもしれませんが、早めに信頼できるエンジェル投資家を仲間にしていれば、事前に入手できる情報です。ですので、株主の力の引き出し方は「事前に決めておくこと」。

定期的なホウレンソウによって情報をインプットしながら、起きる課題を常に先読みし、事前交渉することが重要だと思います。

 

 

>第3話「急成長FinTechベンチャーにおける人材の採り方・活かし方」に続く

>ペイミー公式HPはこちら

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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