起業家の成長なくして、会社の成長なし Loco Partners 篠塚孝哉社長(第1話)

一流ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux」は 、2013年3月のサービス開始以来、急成長を続け、会員数は170万人を突破。訪日の海外会員数も着実に伸ばしている。そんな同サービスを運営する株式会社Loco Partnersの代表取締役社長 篠塚孝哉氏に、起業家の素養や急成長サービスの作り方などについて聞いた。(全6話)

Mission・Visionも成長し続ける

――起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとすると何でしょうか?

私が考える起業家にとって重要な素養は、1つ目が「強靭な意志」、2つ目が「学ぶ力」、3つ目が「課題構築力」です。

ありがちな答えになってしまうのですが、突き詰めて考えると、この3つしかないと考えています。

 

篠塚 孝哉(しのづか たかや)/1984年東京生まれ。東洋大学経済学部卒業、東京大学EMP修了。2007年に株式会社リクルートに新卒入社し、旅行カンパニーに配属。2011年9月(当時27歳)に株式会社Loco Partnersを創業し、代表取締役に就任。2017年2月にKDDIグループに参画。宿泊予約サービス「Relux」は2013年4月のサービス開始以来、年率250%で成長。現在、会員数は170万人を突破し、うちグローバル会員は40万人にのぼる。

 

――まず1つ目の「強靭な意志」が重要だと思われる理由をお聞かせください。

世の中に論理的思考力があり、ビジネススキルの高い人はたくさんいます。ですが、そういった方々がみなさん起業して成功できるかというと、そうではありません。なぜなら起業というものは、論理的に考えるだけでは克服不可能に思えるような課題にばかり直面するからです。

そんな課題に直面した時に、論理を超越して挑戦し続けることのできる「強靭な意志」を持っていないと、途中で投げ出してしまうでしょう。

 

――「強靭な意志」、言い換えると「志」のようなものかと思います。これは起業当初から確立されているべきものなのか、それとも徐々に成長するものなのか、どちらなのでしょうか?

私たちは現在、Missionとして「つながりをふやす」、Visionに「日本を代表する、満足度No.1のグローバルトラベルエージェント」と掲げていますが、こういったMission・Visionは会社の成長に合わせて成長すると考えています。

例えば、私の場合も起業当初から「宿泊予約業界を変える」と外部に発信してはいましたが、内心では「まずは早く利益を作らないと…」という焦る気持ちでいっぱいでした。とにかく生き延びるのに必死な日々です。

サービスをローンチして少しずつ予約が入り、資金調達をしてリソースを手に入れ、徐々にやれることが広がるにつれて「このリソースがあれば、もっとこんなこともできるかもしれない」と志の部分も成長していきました。実際、我々は途中でMissionを変更しています。

なので、創業初期から完璧なMission・Visionを掲げる必要はなくて、会社が大きくなって影響範囲やリソースが広がるのに合わせて、Mission・Visionも磨き続けて良いのです。最初から高すぎるVisionを掲げることがよしとされているような風潮はありますが、すべての起業家がそこまで高く持つ必要性はないと考えています。

起業家というのは外部PRで発信することと内心で考えていることの両側を持ち合わせていて当然だと思いますし、今も私は常に「もっといけるかもしれない」と思いながら経営しています。

 

経営者の器が会社の成長度を決める

――起業家の素養、2つ目の「学ぶ力」が重要な理由をお聞かせください。

言い古されたお話しですが、会社のサイズは経営者の器以上には絶対になりません。

創業時には基本的に経営者の器に対して、会社のできることが小さい状態でスタートすると思うのですが、会社が成長していくにつれ、経営者の器がボトルネックとなって会社の成長が頭打ちになる事象が起こります。そうすると、プロダクトの非成長や組織崩壊や資金の枯渇といった問題が発生するわけです。

その問題を乗り越えるには、己がどんどん器を広げること。つまり、起業家自身が「学ぶ力」を持って成長し続ける以外に方法はありません。

孫正義さんや柳井正さんなども、あまりに遠い存在だから常に一定ポジションにいるように見えますが、実はそういった方々もすさまじい速度で成長し続けています。いまだに死ぬほど勉強しているんです。

このいつまでも学習し続ける姿勢、つまり「学ぶ力」を持っている人でないと、長期的な会社経営はできないと思います。

 

――「学ぶ力」を高めるために普段から意識されていることはありますか?

学びの機会は至る所にあります。私は常に好奇心を持って学びの機会にアンテナを張り、吸収し続けることを意識しています。

例えば、コンビニで「なんでこの時期にアイスコーヒーの割引キャンペーンをやっているんだろう」と考えてみると、それだけで学びがあったりします。

他にも、会社のブログや社内情報共有など、情報のオープン化はかなり意識的にやっています。それによって周囲と議論が発生し、学びの機会につながるからです。

 

――「学ぶ力」は経営者のみならず、すべてのビジネスマンに共通して重要なことかと思います。

先ほど会社の成長カーブと経営者の成長カーブの関係性をお話ししましたが、これは社員にも当てはまります。

ベンチャーで社員が会社を辞める理由には大きく2パターンあると思っています。1つは会社の成長が早すぎて個人の成長が追いつかないパターン。もう1つはその逆で、個人の成長が会社の成長よりも早くて、もっと大きな挑戦機会を求めて辞めてしまうパターンです。

 

会社の成長カーブと個人の成長カーブが一定の良い距離感にあると、気持ちよく働くことができます。

「学ぶ力」はすべてのビジネスマンに共通して必要な素養ですが、常に会社よりも早いスピードで成長し続けないといけない起業家にとっては、より一層不可欠な素養だと思います。

 

 

>第2話「表層的には見えない「事業成長の変数 」を見極める」に続く

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著者 城戸 大輝

著者 城戸 大輝

著者 城戸 大輝

早稲田大学理工学部を卒業後、NTT東日本に入社。NTT東日本ではネットワークエンジニアとして光アクセス回線網の設計や設備投資戦略策定、新規保守サポートビジネス立上げ等を経験した後、DIに参画。DIでは国内ベンチャー投資や投資先への経営支援に加え、戦略コンサルティングとして大手メーカー等の新規事業創造等に携わる。

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