表層的には見えない「事業成長の変数 」を見極める Loco Partners 篠塚孝哉社長(第2話)

一流ホテル・旅館の宿泊予約サービス「Relux」は 、2013年3月のサービス開始以来、急成長を続け、会員数は170万人を突破。訪日の海外会員数も着実に伸ばしている。そんな同サービスを運営する株式会社Loco Partnersの代表取締役社長 篠塚孝哉氏に、起業家の素養や急成長サービスの作り方などについて聞いた。(全6話)

事業成長の変数を捉える「課題構築力」

――起業家の素養(第1話リンク)の3つ目、「課題構築力」が重要な理由についてお聞かせください。

これまで素養として挙げた「強靭な意志」「学ぶ力」と違い、唯一ビジネススキル的な素養になります。

起業をすると、「強靭な意志」だけでは乗り越えられない壁が現れます。そんな時でもリーダーシップを持って、チームがゴールを達成するための道筋を示すこと。「ゴールを目指そう」と口で言うことは簡単ですが、本当に最後までチームがやりきるためには「課題構築力」が重要となってくるのです。

 

――「課題解決」ではなく「課題構築」とおっしゃるあたりに篠塚さんらしさを感じます。

例えば、このインタビューでも記事を作るためには、アポイントをとって、取材時間を設け、質問項目を考えて、という段取りがありますよね。

どんなプロジェクトでも最短経路で最大成果を得るための「課題構築」をして、その構築した課題に対して最適な人をアサインしていくことが成功のポイントです。

言い換えるとQCD(Quality, Cost, Delivery)コントロールとも言われますが、クオリティを最大化しながらコストを最小化するための戦いをひたすらし続ける。これが起業家の宿命であり、持つべき素養だと思います。

 

 

――「課題構築力」を高めるために意識されていることはありますか?

事業の成功要因がなにかを変数化して「核を捉える」ことが大切です。

「変数の核を捉える」といっても、因数分解をして、売上=顧客数×顧客単価といったそんな単純な話ではありません。事業は、表層的には見えていない複雑な変数が絡み合って成り立っているn次方程式のようなものです。その変数の中でアクションにつながる「変数の核」を見極められる起業家は強いと思います。

例えば、「変数の核」の事例を挙げると、とある飲食チェーン店での話ですが「平均提供速度」を30秒早くしたところ、「売上」が1日あたり10%以上も伸びるといったケースがありました。「えっ、そこだったの?」と思われるような変数が、実はKGI(売上等)に対して大きなインパクトを持つことがあります。

この「核となる変数」は、突き詰めていくとどんな事業でも3つくらいに絞ることができます。その核を捉えることができると、適切な「課題構築」ができるようになると思います。

 

 

子会社化後も、成長スピードを加速し続ける

――2017年2月に御社はKDDIの子会社となっています。大手の傘下に入ったことで良かった点、逆に苦労した点などがあればお教えください。

KDDIは約4,000万人の会員数を抱えていて、全国に実店舗が約2,500店あって、投資できる資金力も潤沢にある。このアセットを駆使しながら「Relux」をグロースさせることは、想定以上に上手くいきました。

それなりのサービス規模になってきている中でも、直近1年での業績伸び率も200%を超えていて、これはKDDIシナジーも大きく影響しています。また、いわゆる「稲盛イズム」の徹底的に科学された経営システムの真髄に触れることができているのは、経営者としても大きな学びとなっています。

一方で苦労したことは「守りを固めること」です。

我々は良くも悪くもこれまでベンチャーらしくやってきて、とにかくスピード重視で事業をグロースさせてきました。しかし、KDDIのグループとなるにあたり、稟議フローの設置や就労規則など、コーポレートガバナンスの仕組みをゼロから作り上げるのにはかなり苦労しました。

 

――上場を目指されていているベンチャーも、同様の苦労をされています。

KDDIは上場企業の中でもトップクラスのコーポレートガバナンスを誇る企業だと思います。そのレベルを我々のようなベンチャーが構築できているのは、私にとってももちろんですが、メンバーにとっても非常に価値があることです。

「ベンチャーらしくもっと自由に働きたい」みたいなことをメンバーに言われることも当然あるのですが、コーポレートガバナンスはあくまでメンバーのみんなを守るためにある仕組みです。この重要性を浸透させるのが私の役目だと思っています。

 

――スピード感が損なわれる、といったデメリットは発生していないのでしょうか?

我々は「守り」の仕組みに関してはすべてSaaS系のクラウドサービスや、次世代のコミュニケーションマネジメントを行う、日本でも先駆的な会社だと思います。社内でローカルのアプリケーションはほぼ使いませんし、勤怠、労務、給与明細、会議においても紙をほとんど使っていません。メールは社外の方とのやり取り以外では全くといっていいほど使わず、会議も15分単位でテキパキと行われます。

「守り」に割く時間を極限まで削ることで、成長スピードは今後も加速させていけると思っていますし、買収後にスピード感が落ちたということは全くありません。

 

 

>第3話「「カスタマー体験を上質化する」唯一無二な事業の作り方」に続く

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著者 城戸 大輝

著者 城戸 大輝

著者 城戸 大輝

早稲田大学理工学部を卒業後、NTT東日本に入社。NTT東日本ではネットワークエンジニアとして光アクセス回線網の設計や設備投資戦略策定、新規保守サポートビジネス立上げ等を経験した後、DIに参画。DIでは国内ベンチャー投資や投資先への経営支援に加え、戦略コンサルティングとして大手メーカー等の新規事業創造等に携わる。

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