
創業2年半で社員数360名超。急拡大する組織の熱量を維持する方法とは AnyMind Group 十河宏輔CEO(第3話)
2016年の創業以来、「AIテクノロジー」を軸に世界13拠点に事業を展開し、グローバルカンパニーとして飛躍的な成長を遂げているAnyMind Group(エニーマインドグループ)。同社は2018年10月にLINE、未来創生ファンド、ドリームインキュベータ等から約15億円の資金調達を実施。CEOの十河宏輔氏に、2017年9月のインタビューに続き、今回は事業拡大のポイントや今後の展望などについて聞いた。(全5話)
「データ取得方法の設計」がAI精度を決める
――御社が創業から短期間で「AIテクノロジー」を武器に事業を多数展開できるようになった要因は何でしょうか?
AIテクノロジーを活用する上で鍵になるのが「データ取得方法の設計」です。我々はどうやったら有効なデータを取得できるか、というゴールイメージから逆算してビジネスを組み立てています。
例えば「TalentMind」で提供している採用管理システムには、どの求人サイト・人材紹介サービスからの応募でも、応募経路を問わず、すべての採用候補者のデータが入るように設計しています。
同様にアドテクの「AdAsia Digital Platform」においても、広告主側が利用するDSP(Demand Side Platform)やメディア側が利用するSSP(Supply Side Platform)など、各種アドテクツールを束ねるサービスを提供しています。なので必然的に、マーケティングに関するデータはすべて集まってくる設計になっています。
このように「データ取得方法の設計」を突き詰めて考えること。これがAI精度の高いサービスをつくる近道となります。
――なるほど、まずは有効なデータを取得できるビジネスモデルから考えていらっしゃるのですね。集めたデータを分析する組織に関しては何か特徴はあるのでしょうか?
当社のデータサイエンスチームは、ある種「オタク」なメンバーが揃っています。データ分析精度を向上させるのが好きでしょうがないんです。
例えば「TalentMind」が提供する価値の一つである「履歴書の自動スコア判定」は、競合となるようなサービスが世界にいくつかあるのですが、そういったサービスと当社を比較し、「精度で圧倒的に勝っています!」と嬉しそうに報告してくれます。
そんなモチベーションの高いメンバーだからこそ、自発的にアクションし続けてくれますし、常に最新のテクノロジーを取り入れて成長できています。
組織の急拡大に不可欠な幹部陣の育成
――組織もグローバルで360名規模まで急拡大されています。組織が拡大してもメンバーの高い熱量を維持し続けるための工夫をお聞かせください。
世界13地域に拠点が散らばっていますが、4半期に1度はマネージャー以上を全員集めて、トレー二ングやビジョン共有の場を設けています。また、半期に1回は全社員を集めて社員総会を開き、ビジョンや戦略を共有する場も設けています。
こういった機会を設けるためにはコストも相応に必要となりますが、人材こそが命なので、そこに対する投資を惜しむことはありません。
またミクロな部分で言うと、私は常に世界中を飛び回っており、それぞれの拠点で「最近調子どう?」といったライトなコミュニケーションをとり続けています。
経営者として正しい意思決定をし続けるためには、現場の正しい情報がスピーディに入ってくる環境づくりが不可欠です。社長が現場と近い距離をとり続けることは、これだけ組織が大きくなった今でも意識的に行うようにしています。
――採用に関しては各拠点に権限委譲されているのでしょうか?
基本的に各拠点のカントリーマネージャーに任せています。ただし、人材の質を維持するために、課題が出てきた拠点に関しては私が直接採用のテコ入れを行っています。
例えばタイは当社にとって絶対に負けられない重要市場で、急激に人材を増やし続けています。しかし、その副作用として人材の質にばらつきが見られた時期もありました。
なので、タイに関しては最終面接は私が直接コミットするようにしていますし、マネージャー陣にも採用すべき人材レベルを徹底的に共有し続けています。
これだけ組織が急拡大しても熱量を保ち続けられるかどうかは、幹部人材の層の厚さにかかっています。
人材を見極め、育てることができる幹部層を育成することが私の役割ですし、組織が大きくなればなるほど、その重要性を強く感じています。
>第4話「世界トップクラスのテクノロジー人材が集まる理由とは」に続く
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