タクシーから「日本流・新しいモビリティ」を創る JapanTaxi 川鍋一朗社長(第1話)

No.1とNo.2の決定的な差

――川鍋さんが考える「起業家にとって重要な素養」は何でしょうか?

最も必要なのは自分がやっていることを信じる「思い込み力」ではないでしょうか。

経営者は辛い局面に多々遭遇します。そんな時でも、自分がやっていることを信じられないと、大義名分が見出せずに挫折してしまうでしょう。

私の場合は3代目の継承者として「お前が3代目だ」と創業者の祖父から言われ続けて育ちました。これは運命的なものですが、自分は当然社長を目指すものだと「思い込んで」いたのです。

私のように運命的な理由を持つ人もいるでしょうし、なにかしらの原体験があるという理由を持つ人もいるでしょう。どんな理由でもいいので、自分がやる必然性があると「思い込める」のであれば、道は開けてくるのではないでしょうか。

 

川鍋一朗/1970年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了。同年マッキンゼー日本支社入社。2000年日本交通入社。専務、副社長を経て、2005年日本交通とJapanTaxi株式会社の代表取締役社長に就任。2015年より日本交通会長に就任。

 

―― 一般的な起業家と継承者では心の持ちようがかなり異なりそうですね。

私の場合、日本交通の社長に予定より早い35歳で就任したときに、「この先どうするんだっけ?」と思ったことが一つのターニングポイントになりました。

いざ社長になってみて痛感したのが「No.1とNo.2の見える世界は180度違う」ということ。「日本交通の社長になる」ことが目標だったため、そこから先の道筋が見えていませんでした。

先頭に立って正解のない道を選んでいく難しさはトップにならないと体感できません。私のような継承者でも、起業家でも、共通して大事なのは「何をやるか」を決断し続けることです。

昨今の資金調達環境や技術インフラ状況は、確かに起業に最適だと思いますが、起業することが目的ではなく「何をやるか」が目的です。そして自分がやる必然性を「思い込める」かどうかで、続けられるかどうかが決まると思います。

 

「日本流の新しいモビリティ」の姿

――タクシー最大手の「日本交通」会長と、ITサービス会社「JapanTaxi」社長を兼務されていますが、双方でかなり経営者に求められることが異なるのではないでしょうか?

一番違うのが経営の「時間軸」です。

日本交通の場合は家業なので、とにかく30年続けて次の世代にバトンを渡す、というのが私の使命です。時間はかかってもいいから、1ミリでもいいから、「本質的に良くなること」に経営リソースを注ごうと心がけてきました。

典型的なのが「人材育成」。タクシー乗務員の採用・育成、そして退社までの何十年にも渡る全体フローを地道にコツコツと改善していきました。まるでワインのビンテージのように、年々少しずつ質を高めていくのです。

一方で、JapanTaxiには時間がありません。ものすごい勢いで競争が起きていますし、淘汰のサイクルも早い。

そこで経営者としてやったことは「移動で人を幸せに。」というビジョンを掲げること。とにかく資金など戦える舞台を用意すること。そして「タクシー」「モビリティ」といった注力領域を定義すること。

あとはチームに任せ、あらゆる手をスピーディに打ち続けるしかないのです。

 

――それだけ淘汰スピードの早いIT業界に進出することに抵抗感はなかったのでしょうか?

配車マッチングや決済システムを「プラットフォーム」、タクシー運転手を「コンテンツ」だと捉えると、タクシー経営そのものが半分ITになったのだと気づきました。

そして、少子高齢化や過疎化といった世界最先端の「移動の課題」に直面している日本においては、労働人口が豊富なアメリカや中国とは違った形で「プラットフォーム」が生まれていくはずだと考えました。

長年「コンテンツ」として我々が育成してきたプロ運転手たちは淘汰されるのではなく、「相乗り」などの効率的な運行を求められていくべきでしょう。その先は自動運転が主役になるかもしれません。

この「日本流の新しいモビリティ」を私たちが先頭に立って創っていきたい。これがJapanTaxiの挑戦であり、長年タクシー業界に根ざして事業を営んできた我々だからこそやるべき事業だと確信しています。

 

■読者のみなさんへのメッセージ

 

 

 

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著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社NTTドコモに入社。 NTTドコモでは、SI事業のプロジェクトマネジャーとして、金融・医療業界を中心にソリューション提案/開発業務に従事。その後、法人向けブロードバンドサービスの戦略策定業務を経てDIに出向。DIでは国内ベンチャーへの投資、事業支援に取り組む。

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