タクシー業界全体を突き動かすリーダーの行動術 JapanTaxi 川鍋一朗社長(第2話)

国内最大級のタクシー配車サービス「JapanTaxi」など、タクシー業界のIT化を次々と推し進めるJapanTaxi株式会社。同社代表取締役社長の川鍋一郎氏はタクシー業界最大手「日本交通」の3代目として会長も務める。川鍋氏に起業家の素養や事業立ち上げのポイントなどについて聞いた(全6話)

結果を追求する「Doer」たれ

――タクシー配車サービス「JapanTaxi」アプリは国や業界全体を巻き込んで推進されています。そのような大きな取り組みを実現するためのポイントをお聞かせください。

「結果」を出す。特に信頼度が高まっていないうちは「わかりやすい結果」を出す。これが信頼を勝ち取る唯一の方法です。

私が東京ハイヤー・タクシー協会の副会長だった頃、まだ私のタクシー業界でのトラックレコードはありませんでした。そのため、短い期間で「わかりやすい結果」を出すことで、周囲の理解や協力が得られる基盤を作ろうと意識していました。

わかりやすい例として「初乗り410円」施策があります。

初乗り価格が2km730円から1km410円になったおかげで、当然ながらタクシー利用者は増えました。さらに運賃組み替えによって短距離運賃を値下げする分、長距離運賃を調整することで全体の売上が落ちないように設計しています。

こうして「わかりやすい結果」を出したおかげで、現在は私の考えや行動に対して多くの賛同を得られるようになりました。「川鍋なら何とかやりそうだ」と信頼していただけているのだと思います。

繰り返しになりますが、まずは「結果」を出すこと。そのために「Doer(実践者)」であること。これが周囲から信頼を勝ち取る上で大切なことだと思います。

 

自分のブランドエクイティを高める

――配車アプリを提供する米Uberは「ディスラプター」と良く言われていますが、川鍋さんのタクシー業界と共に歩む姿勢とは対照的です。

日本とアメリカでは社会構造、価値観が根本的に異なります。日本では必ずしも「ディスラプター」が賞賛されるわけではありません。

ベンチャー企業はサイクルが早いので、数年だけ有名になって終わり、といったケースも見受けられますが、それでは業界を本質的に変えることはできません。

10年20年と結果を出し続けるためには単純な技量だけでなく、誠実な振る舞いが問われます。短期的な成果を追い求めるあまり人様に迷惑をかけると、必ず悪評判という形で後から自分に返ってくるでしょう。

なので「結果」も大切ですが、同時に「人間性」、つまり誠実で嘘をつかない人しか大きな業界を巻き込む経営者になることはできないと思います。

 

――長期的な人間同士の信頼関係が業界を大きく変えるのですね。

自分自身の「ブランドエクイティ」を意識して行動することが大切です。

常に新しいことをやってアイディアも面白いけれど長く続かない、という人は長期的に見れば「彼は何をやってもすぐ辞める」という評判になり、だれも振り向いてくれなくなります。

将来良いパートナーを作りたいのであれば、むやみにネットワークを広げようとするのではなく、今いるパートナーと誠実に向き合うというのが一番の近道です。

1社でもいいからパートナーを徹底的に満足させましょう。それを続けていれば必ず信頼は蓄積し、次の道に繋がっていくはずです。

 

 

>第3話「産業を変える「覚悟」が大きなビジネスを創る」に続く

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著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社NTTドコモに入社。 NTTドコモでは、SI事業のプロジェクトマネジャーとして、金融・医療業界を中心にソリューション提案/開発業務に従事。その後、法人向けブロードバンドサービスの戦略策定業務を経てDIに出向。DIでは国内ベンチャーへの投資、事業支援に取り組む。

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