大企業とベンチャー。共通する組織マネジメントのポイント JapanTaxi 川鍋一朗社長(第5話)

正直なコミュニケーションの徹底

――組織作りにおいて意識していることをお聞かせください。

私が意識しているのは「正直なコミュニケーション」です。

ウォルマートの創業者であるサム・ウォルトンが掲げた10ヶ条というものの中で、私が印象に残っている言葉あります。それは「情報を共有しよう。情報を共有するほど、互いの理解は深まる。(原文 ‘Communicate everything you possibly can to your partners. The more they know, the more they’ll understand.’)」という言葉。

この言葉には続きがあって、「この結果として競合に情報が渡る可能性がある。しかしそのデメリットよりもメリットの方がはるかに大きい。だから臆することなく情報を共有せよ。」とウォルトンは言っているのです。

もちろん、当時よりも今はコンプライアンスなどに対するルールが整っているので現代的な解釈が必要になりますが、組織づくりの原則として真実を述べた言葉だと思っています。

私は本当に言ってはいけないこと以外、すべて社員に共有しています。月一回の全体会議の場でも、自社サービスの状況や競合状況、海外動向など、思っていることをそのまま話すようにしています。あまりに正直に話すため「歩くセキュリティホール」と言われてしまうこともあるほどです。(笑)

情報をオープンにすることはリスクも伴いますが、それでもメッセージが浸透していることによるメリットが大きい。なので「正直なコミュニケーション」は、組織づくりの基本として大切にしています。

 

トレードオフと戦い続ける

――チームのスピード感を維持するために工夫されていることはありますでしょうか?

ハイスピードで事業が動いていると、時には経営者が知らないことも多々出てきます。知る努力はもちろんした上で、時には「諦める」ことも肝心です。

日本交通の社長をしていた頃は、組織の隅々まで意識が通っている感覚がありました。でもJapanTaxiはとにかく「スピード」が早いので、意識が行き届かない部分もどうしても出て来てしまいます。

「コミュニケーション」や「リスクマネジメント」は工数が発生するため、常に「スピード」とトレードオフの関係にあります。このバランスを調整するのが経営者の仕事です。

JapanTaxiはとにかく引きちぎれるほどの「スピード」で走らないと意味がないことをやっている。だからこそ日本交通の時よりも「諦める」判断も多々求められます。

最適な「スピード」は産業やサービスによって異なるので、そのバランスを見極めてマネジメントしていくことが大切だと思います。

 

――「スピード」で失われがちな「品質」の担保もバランスということでしょうか?

スピードを上げるだけなら簡単ですし、品質を上げるだけなら簡単です。このトレードオフと戦い続けるのが経営者の仕事です。状況によって判断は異なりますし、全員を幸せにはできないという諦めも時には必要でしょう。

私たちの今の舵取りが良いかどうかは3年後、5年後の結果でしか判断できません。一つだけ確かなことは、我々が戦っている「IT×モビリティ」の世界は、元のタクシーの世界より何倍ものスピードで動いているということです。

それぞれの世界に合わせて適切な「スピード」感を調整することが、経営者の役割だと信じています。

 

 

>第6話「「移動で人を幸せに。」を実現する未来のモビリティ」に続く

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著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

著者 堀田 慶介

早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社NTTドコモに入社。 NTTドコモでは、SI事業のプロジェクトマネジャーとして、金融・医療業界を中心にソリューション提案/開発業務に従事。その後、法人向けブロードバンドサービスの戦略策定業務を経てDIに出向。DIでは国内ベンチャーへの投資、事業支援に取り組む。

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