解くべき「問い」を定めることから始めよ アルファドライブ 麻生要一社長(第2話)

リクルートで社内事業開発プログラム「Recruit Ventures」や、スタートアップ支援プログラム「TECH LAB PAAK」などの新規事業を次々と立ち上げてきた麻生要一氏。2018年に起業し、企業内新規事業を支援するアルファドライブ立ち上げた。そんな同氏が考える起業家、そして社内起業家(イントラプレナー)に求められる素養とは?(全5話)

ガムシャラだった初の「ゼロイチ」体験

ーー今回はゼロから事業を生み出す「ゼロイチ」の秘訣について、ご自身の経験に沿ってお伺いできればと思います。

私の経歴を前提としてお話すると、新卒で入社したリクルートで2年目に社内コンテストに応募し、その事業が事業化されました。そこから3年間、メンバーが30名規模になるまで社内の新規事業として立ち上げたのちに、ニジボックスとして分社化し150名規模になるまで経営者をやっていました。

なので最初の3年間が初めての「ゼロイチ」、スタートアップに置き換えるとシリーズAの資金調達するくらいまでのフェーズだったと思います。

 

ーー社内起業ということで、一般的な起業とは少し違う部分もあったかと思います。

最初は会議室に机一個と椅子二つ置いて、私と先輩プログラマーの二人で始めました。しかも創業事業が iモード内サイトの課金ビジネスという、リクルートの広告事業とは全くシナジーのない事業だったので、本当のスタートアップとかなり近い環境だったと思います。

当時はなにも知らない若者だったので、取った戦略は「とにかく物量をこなす」ということ(笑)。とにかくガムシャラに働きました。

マネタイズ方法も、考えうるやり方を全て1度は試し、ほぼ全て失敗しました。結果的に月額課金のサブスクリプションモデルという、今思えば至極まっとうな形が残るのですが、それも消去法でようやく辿り着いた答えだったのです。

 

ーー創業された当初は今ほどネットビジネスのノウハウが蓄積されていない時代だったことも背景にはあるかと思います。

そうですね。当時は今ほどITスタートアップに関する情報も出回っていなかったので、回り道することも多かったと思います。今起業する人は情報収集さえすればもっと効率的にできるでしょう。

どんどん仮説を実行してみて失敗したらすぐ引き、当たった施策に一点集中して伸ばしていく。私の場合はそうやって初めての「ゼロイチ」立ち上げを行いました。無茶苦茶なやり方でしたが、とにかく楽しかったことを覚えています。

 

解こうとする「問い」は何か?

ーーその後、社内、社外問わず、次々と新規事業を立ち上げられています。成功の秘訣はなんでしょうか?

「顧客のどの課題を解こうとしているか」が明確かどうか、で勝負はほぼ決まります。適切な問いさえ設定できれば、事業は半分完成しているといっても過言ではありません。

ニジボックスは立ち上げに非常に苦労しました。なぜならば、創業のきっかけが「顧客起点」ではなく、「ビジネスモデル」起点だったからです。

それに比べて、Recruit VenturesやTECH LAB PAAK、アルファドライブはシンプルに立ち上げられています。なぜならば「顧客起点」で、解こうとしている課題が明確だからです。

例えばRecruit Venturesを立ち上げた当時、私はリクルートグループの新規事業開発室長をやっていましたが、直面していた課題が「上場によるガバナンス厳格化」と「スタートアップエコシステムの充実」による起業家人材の外部流出でした。

そこで設定した問いが「上場後のリクルートグループにおいて、起業家精神旺盛な企業風土を守り、サラリーマンが起業家よりも起業家らしく新規事業や会社を立ち上げられる仕組みをつくる」です。

その問いが明確だったので、解決策としてシリコンバレーのスタートアップエコシステムを徹底研究し、その全ての機能をリクルートグループ内に埋め込むということをやりました。VCやアクセラレータのような仕組みをグループ内に擬似的に作ったのです。結果的に、社内から次々と新規事業が生まれるようになりました。

TECH LAB PAAKも、日本のスタートアップ界を見て感じた違和感が原点になっています。

VCなどの隆盛で起業家に資金が集まる一方で、投資家に相手にもされない「創業前フェーズ」を支援するプレーヤーがいなかった。実はそういったフェーズの人たちが一番支援を求めているにも関わらず、です。

だからこそ、TECH LAB PAAKは「起業するかまだわからないしビジョンもまだ明確ではないけれど、世界を変える意欲のある人たちを支援する場所作り」を課題として設定しました。

課題設定が「顧客起点」で明確に設定されて、かつ他にその役割を担うプレーヤーがいなければ、「ゼロイチ」はスムーズに立ち上がります。解こうとする問いが決まれば、新規事業は半分完成と言っても過言ではないのです。

 

 

>第3話「新規事業開発のプロが語る、社内起業の要諦」に続く

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。現在DIでは国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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