
本当のイノベーションは社内から生まれる アルファドライブ 麻生要一社長(第4話)
リクルートで社内事業開発プログラム「Recruit Ventures」や、スタートアップ支援プログラム「TECH LAB PAAK」などの新規事業を次々と立ち上げてきた麻生要一氏。2018年に起業し、企業内新規事業を支援するアルファドライブ立ち上げた。そんな同氏が考える起業家、そして社内起業家(イントラプレナー)に求められる素養とは?(全5話)
リクルートから学んだ宝物
ーー前職のリクルートで得たノウハウが麻生さんの今に活きていると感じます。麻生さんから見たリクルートの凄さをお聞かせください。
私から見たリクルートの凄さを3つに要約すると「圧倒的当事者意識」「KPIマネジメント」「オペレーションエクセレンス」です。
圧倒的当事者意識を持った個人に任せてゼロイチを立ち上げ、一見属人的に見えるような事業も型化してKPIマネジメントし、オペレーションを磨きあげて勝ちパターンを拡大再生産する、というフロー。これはどんなビジネスにおいても生きるスキルですし、私がリクルートから学んだ宝物だと思っています。
アルファドライブも、「企業内新規事業」という一見属人的に見えるものの成功要素をプロセスとKPIに分解し、拡大再生産を可能にするソリューションを提供しています。これは私がリクルート出身だからこそできる事業でしょう。
一方で、このやり方が逆効果になる瞬間もあります。それは「新しい価値創造」をするときです。
新しい価値創造のタイミングではKPIマネジメントとオペレーションエクセレンスではなく、前回伝えた「顧客起点」で物事を考えなくてはいけません。顧客の変化を察知して朝令暮改するケースも頻繁にある。型化するよりも目の前で起きていることに対して反射的に正しいことをやっていくべきなのです。
ーーゼロイチフェーズでは無理に型化するのではなく、「顧客起点」で素早く、柔軟に意思決定することが重要なのですね。
ここで重要となるのが会社のミッション・ビジョン・バリューです。何を成し遂げたいか、どういう世界を作りたいか、誰にどのような価値を提供したいか。この信念のようなものが意思決定の指針となります。
逆に言うと、ミッション・ビジョン・バリュー以外のことはゼロイチフェーズではすべて流動的であるべきです。
ミッション・ビジョン・バリューに基づき新しい価値を創造し、ある程度ビジネスの形が出来上がったタイミングでリクルート流のマネジメント法を組み合わせる。
これがリクルートの外で起業して掴んだ、私なりの新規事業立ち上げ法です。
日本企業流のイノベーションの起こし方
ーー改めてアルファドライブのミッションについてもお聞かせください。
前提として日本の大企業におけるイノベーション創出方法の変遷をお話します。
近年の日本企業のイノベーション創出方法として、最初に流行したのがCVCを組成してスタートアップに投資するということ。しかしながらシナジーの見込めそうなスタートアップにマイナー出資を繰り返したところで、新規事業は生まれませんでした。
次に普及したのがスタートアップアクセラレーションプログラムで、スタートアップと大企業で共同事業をやる形。スタートアップにとってはメリットが大きいですが、大企業のイノベーション創出という観点では、これもなかなか期待値を超えるような結果が出ていないのが実情です。
そこで次に流行っているのがスタートアップではなく、大企業同士のオープンイノベーション。これも共同研究やプレスリリースは多数出ているものの、実際に事業が生まれたかと言うとそうではありません。
この一連の流れを見ていて「絶対におかしい」と感じていました。「新規事業を作りたいなら、自社の社員にやらせるべきだ」と。
ーーイノベーション創出を外部に委ねるな、ということですね。
はい。イノベーションと言うと、スタートアップやオープンイノベーションなど外部にお金を流せば何かが起きると期待する風潮がありますが、本当に新規事業を作るためには、社内に投資をして、社内からイノベーションを創出する仕組みを作るべきです。
その当たり前のことをやる経営者が日本には少ないですし、仕組みづくりを支援する旗振り役もいない。
それであれば日本経済のために、企業内で働くすべてのサラリーマンが、サラリーマンのままイノベイティブに新規事業を立ち上げられる仕組みや手法を開発しようと考え、アルファドライブは生まれました。
おかげさまで創業後驚くほど垂直に事業が立ち上がっていますが、それは課題設定が本質的かつ鮮やかだったからだと感じています。
>第5話「「社内起業家」を憧れに。そして日本経済を元気にする」に続く
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