クラウドファンディングの先駆者が語る、起業家の素養 READYFOR 米良はるかCEO(第1話)

「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」というビジョンのもと、日本初・国内最大級のクラウドファンディングサービスを運営するREADYFOR株式会社。2018年10月には、初の外部調達も実施。今回、同社の創業者 兼 代表取締役CEOの米良はるか氏に、起業家の素養や事業創出の秘訣などについて聞いた。(全4話)

「未来の社会」で果たしたい役割は何?

ーー米良さんが考える「起業家の素養」を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

起業家や経営者とひとくちにいっても十人十色、状況は様々なので一概には言えませんが、スタートアップのようにゼロイチを生み、非線形的な急成長を志向する会社の起業家に特化してお話すると、以下の3つが重要だと思っています。

1つめが「ビジョン」、2つめが「仲間を集める力」、そして3つめは「やりぬく力」です。

 

米良はるか/1987年生まれ
慶應義塾大学経済学部卒業。2010年スタンフォード大への留学で米国のクラウドファンディング サービスを見たことをきっかけに、帰国後2011年に日本初となるクラウドファンディングサービス「Readyfor」を立ち上げ。特にNPOや地域創生といった、これまで資金調達が困難だった団体や個人に向けて資金調達手段を提供。2014年より株式会社化、代表取締役 CEOに就任。

 

ーーまず「ビジョン」が重要と考える理由についてお教えください。

私が考える「ビジョン」とは、「会社が未来の社会において果たしたい役割」です。

特に急成長が求められるスタートアップでは、既存の社会やサービスだけを見ていてはいけません。社会変化を中長期的に俯瞰したうえで、自社が「未来の社会」でどういう役割や存在価値を提供していくか、意思表明する必要があるのです。

私たちは「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」をビジョンに掲げ、「新しいお金の流れ」を提供することで挑戦者がどんどん増える社会を実現したいと考えています。

これはまだクラウドファンディングが日本に存在していない、Readyfor立ち上げ当時から変わらぬ思いですが、サービスを始めた頃はクラウドファンディングを知る人がおらず、なかなか理解してもらえませんでした。

現在はクラウドファンディングの認知度も高まり、私たちがやっていることの意義が理解いただけるようになりましたが、こんな今があるのはReadyforを始めた時から「ビジョン」を信じてブレずに進んできたからです。

なので「ビジョン」は、スタートアップの起業家になくてはならないものだと思います。

 

自分の強みをひたすら尖らせる

ーー2つめの「仲間を集める力」についてもお聞かせください。

起業家のケイパビリティは常に伸ばし続けなければいけませんが、それだけでは会社の成長スピードに限界があります。掲げるビジョンを達成するスピード感を実現するために、強みと弱みを補完しあえる仲間が必要です。

例えば私の場合、誰もやっていないような新しいことを生み出すゼロイチのアイディア出しは得意ですが、ポートフォリオを戦略的に組み立てていくような経営は自分より得意な人がたくさんいます。強みが尖っている方だと自己認識しているのです。

だからといって自分でなんでもできるようになろうとするのではなく、尖っている強みをさらに尖らせていって、足りない部分は仲間に補完してもらう。そうやって会社を強くしていこうと早いうちから意識していました。

 

ーー早いうちからそのような意識を持ったきっかけがあったのでしょうか?

私は大学院の頃に松尾豊先生(東京大学 特任准教授。READYFOR株式会社アドバイザー)のもとでエンジニアの仲間とReadyforを一緒に立ち上げたのですが、そこで出会った人たちは明らかに自分と異なる強みを持っていました。

松尾先生は非常にロジカルな方で、中長期で成し遂げたいことを具体的な戦略に落とし込んでいく力が圧倒的です。エンジニアのメンバーも、幼い頃からプログラミングをやっていて24時間コードと向き合っていても苦じゃないほどプログラミング好きな人たちでした。

そんな自分と異なる人生の楽しみ方をしている人たちに囲まれたからこそ、自分の強みをどんどん生かしたほうがいい、完璧な人間にはなれないと考えるようになりました。

私は学生の時に起業したのでわからないことばかりで、先輩経営者にアドバイスをもらったり、できる人に仲間になってもらったりすることでここまでやってきました。そして結果的に、事業を成長させるにはそれが一番早かったと思っています。

自分の強みを徹底的に生かすためにも、弱みを補完してくれる「仲間を集める」。急成長を目指すスタートアップの起業家には必要な素養だと思います。

 

 

>第2話「「日本初のクラウドファンディング」が切り拓いた道」に続く

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。 株式会社ドリームインキュベータからDIMENSIONファンドMBOに参画、国内のスタートアップへの投資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。主な出資支援先はカバー、スローガン、BABY JOB、バイオフィリア、RiceWine、SISI、400F、グローバ、Brandit、他 全十数社。 ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当。 著書に、「スタートアップ―起業の実践論 ~ベンチャーキャピタリストが紐解く 成功の原則」

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