誰もが自分の宿命を乗り越えることができる世界をつくる 五常・アンド・カンパニー 慎泰俊社長(第1話)

「民間版の世界銀行」を目指す五常・アンド・カンパニー株式会社。2014年7月創業から急成長を遂げ、2019年9月末時点で顧客数47万人、グループ従業員数も2,700名を超え、DIMENSIONも含めた投資家から42.2億円のシリーズC資金調達も発表した。そんな同社・代表取締役の慎泰俊氏に起業家の素養、ビジョンなどについて聞いた(全6話)

人類の歴史を一歩でも前に進める

ーー起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

私は起業してからまだ5年しか経っていないので、あくまで暫定的な答えとして聞いて欲しいのですが、1つめは「志・ビジョン」、2つめは「諦めないこと」、3つめが「自分より優秀な仲間を連れて来られること」だと思います。

 

慎泰俊/1981年生まれ
朝鮮大学校法律学科および早稲田大学大学院ファイナンス研究科卒。モルガン・スタンレー・キャピタル、ユニゾン・キャピタルで投資実務に従事。金融機関で働く傍ら、2007年に認定NPO法人Living in Peaceを設立し、平日の夜と週末をNPO活動に費やす。2009年に日本初となるマイクロファイナンス投資ファンドを企画後、 2014年に五常・アンド・カンパニー株式会社を創業。途上国の貧困層向けの金融サービスを提供している。

 

ーー1つめの「志・ビジョン」について具体的にお聞かせください。

私は世界最大の起業家支援コミュニティ「エンデバー」の日本のボードメンバーをさせていただいているので、様々な国で選考会に参加する機会があるのですが、ある著名なアメリカのベンチャーキャピタリストがテック系スタートアップの起業家を評価する際に「この人は本物の起業家じゃない」と言ったことがありました。

私が「なぜそう思うのですか?」と聞いたところ、「彼はテクノロジーには強く、将来の見通しがついてはいるが、現実を見据えてそれと妥協したり闘いながら物事を前に進めようとしていく姿勢が見えない。」と話していたのです。

私もその通りだと思っていて、仕事を通じて社会のあり方をちょっとでも変える、人類の歴史を一歩でも前に進めるというのが起業家の仕事だと考えています。「志・ビジョン」を描き、その実現のために地道に現実と折り合いをつけていくこと、そのために自分より優れた仲間を連れてこられることが起業家たる条件だと思っています。

 

「愛情」「成功体験」がビジョンを生んだ

ーー慎さんのビジョンを改めてお聞かせください。

私のビジョンは「誰もが自らの宿命を乗り越え、よりよい人生を勝ち取る機会をもつ世界をつくる」こと。

言い換えるなら「機会の平等」です。生まれたときの初期条件が何であっても、誰でも何にでもなれる自由があると、世界のすべての人が思える世界をつくりたいと思っています。

 

ーーそのビジョンを持たれたきっかけをお聞かせください。

今思えば恵まれていた幼少期だったのですが、幼い頃はよく「なんで自分だけ」と思うことが多かったんです。

「なんでうちにはスーパーファミコンがないんだ」という小さなことから、「なんで先輩が自分のことだけ殴るのか」「なんで自分にはパスポートがないのか」といったことまで、自分の境遇に疑問を持っていました。

20代の前半頃までは、自分が生まれたときに配られたカードを恨んでいたのですが、ある時、気がづいたんです。「自分が生まれた時に悪さをしていないのだから、自分じゃなくて世の中が変わるべきだ」と。

自分のバックグラウンドや立場に負い目を感じている様々なマイノリティの方々は、日の目を見ない場所で生きていこうとすることが多いように思います。でも、それはとても悲しいことだと思っています。持って生まれた初期条件がなんであれ、誰もがやりたいことをやれる世界にしたいと思いました。

 

ーーそのように気づくことが出来た理由はなんだったのでしょうか?

私が「自己肯定感」を培うことが出来ていたからだと思います。

「自己肯定感」は主に2つの要素で構成されるものだと思っていて、1つめは「誰かからの愛情」です。ただし、血がつながっている人からの愛情かどうかはあまり関係がありません。自分が死んだ時に「この人は絶対に号泣する」と確信できる人が1人でもいれば、それだけでいいんです。これは産みの親と離れて暮らしている子どもたちを10年以上見てきた経験からも確信していることです。

2つめが「成功体験」です。何かうまく出来た経験、誰かに必要とされた経験があれば、自分が生きている理由を肯定できるようになります。

私の場合は幸いなことに母が極めて愛情深い人で、絶対に裏切らないという安心感がありました。

成功体験に関しては、1つは学生時代に取り組んだサッカーです。最後まで補欠だったのですが、それでも一生懸命練習していれば上達するし、他の人からも馬鹿にされなくなっていきました。自分でも「やればできる」「自分が変われば周りも変わる」と確信を持つことが出来た自己革新経験でした。

たとえ持って生まれた初期条件が悪くても、誰かに大切にされていて、何かうまく出来た経験さえあれば「自分がこの世の中にいてもいいんだ」と自己肯定感を持つことができると信じています。

 

 

>第2話「世界を変える起業家になるために必要な2つのこと」に続く(11月中旬公開予定)

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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