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医療ビッグデータ解析のパイオニア JMDC松島陽介社長が語る、経営者必携の3素養(第1話)

「データとICTの力で、持続可能なヘルスケアシステムを実現する」をミッションに掲げ、国内最大規模のヘルスビッグデータベースを駆使したデータ事業や遠隔医療事業などを展開する株式会社JMDC。2019年12月に東証マザーズ上場後も、その資本市場評価を急成長させ続けている。今回は代表取締役社長兼CEO 松島陽介氏に、経営者として重要な素養、そしてデータビジネス成功の要諦などについて、DIMENSIONの伊藤紀行が聞いた(全5話)

ステークホルダーに付託されるための3つの源泉

ーー松島さんが考える「経営者にとって重要な素養」を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

経営者というのは一人でなれるものではなく、社員や株主といったステークホルダーが経営者に会社運営を託すという関係性が必ず存在します。そのため、経営者の素養を「ステークホルダーに付託されるための源泉」と読み替えることもできるでしょう。

その源泉を3つ挙げるとすると、1つめが当たり前ですが「オーナーシップを持つ」ということ。

一定の権限が備わっている限り、責任が必ずセットになっています。最後はあらゆることに対して自分が責任を背負うという覚悟がないと、単に肩書きとしての経営者になってしまうでしょう。その覚悟が無い限り、経営者になるのはやめたほうがいい。

 

松島陽介 株式会社JMDC代表取締役社長兼CEO/第一生命保険にて商品開発などを経験した後、A.T.カーニーおよびマッキンゼーアンドカンパニーにてコンサルティング業務に従事。バイアウトファンドの草分けであるMKSパートナーズ、丸の内キャピタルにおいて投資業務に従事。2012年よりノーリツ鋼機グループに参画し、2013年にノーリツ鋼機副社長COOに就任。2018年よりJMDCの代表取締役兼CEOに就任。

 

2つめが「ビジョナリーとリアリティのバランス」です。

ビジョナリーだけでは、評論家・夢想家になってしまいます。一方でリアリティだけでは実務担当レベルの話で止まってしまいます。経営者に求められるのは、ビジョナリーとリアリティの間を行ったり来たりしながら、バランスさせる能力なのです。

とりわけ昨今は、ビジョナリーの重要性が高まってきています。それは現状の積み上げ型経営では解が生み出せない事業領域が増えているためです。世の中の大きな動きや、まだ誰も気づいていないコンセプトレベルの話ができるかどうかが、経営において重要になる流れは今後ますます加速していくでしょう。

ビジョナリーに構想を描き、それを具現に落とし込み、実行するプロセスを構築する。この「ビジョナリーとリアリティのバランス」が経営者にとってキーになる素養です。

3つめは「人に対する求心力」です。会社組織という人の集合体において、人を動かすための力とも言い換えられます。

求心力はビジョンに宿ることもあれば、オーナーシップを示した背中に宿ることもある。何をやっても「カリスマ」と評されるタイプの経営者もいます。スタイルに個人差はあれど、「人に対する求心力」が無いと、大きな組織を経営することはできません。 

まとめると「オーナーシップを持つ」、「ビジョナリーとリアリティのバランス」、そして「人に対する求心力」の3つが、私が考える経営者にとって重要な素養です。

 

「お金や権威で人を動かすな」

松島さんはそれらの素養をどのようにして身につけられたのでしょうか?

経営者の素養を特定の体験で身につけたという感覚はありませんが、「人に対する求心力」を明確に意識したのは新卒で入社した第一生命保険での経験です。

私は入社当初に配属された商品開発部門から異動し、大阪の堺支社でファイナンシャル・プランナー(FP)として配属されました。

私のミッションは支社にいる400名もの現場営業職員たちに対して、FPの知識を発信し営業に活用するというものだったのですが、当然ながら経験も権威も無い若造など、手練れの営業職員たちからは見向きもしてもらえませんでした。営業職員は歩合制に近い実力社会ですので、本当に役に立つ人しか必要としないのです。

そんなカオスな状況にいきなり放り出された私は、自分の存在を認めてもらうために「人として魅力をどうやったら感じてもらえるか」を必死に考え抜きました。

例えば、年配の女性が多い営業職員に対して、ロジックばかりで説明しようとしても誰も話を聞いてくれませんでした。

そこで作戦を切り替え、世間話などをしながら懐に入っていき、究極は「松島くんみたいな息子が欲しかった」と言ってもらえるような(笑)、情緒的コミュニケーションに変えていったのです。

具体的には、感情を込めて一人一人の営業職員にこまめに声をかける、どんな逆境でも逃げない、汚れ仕事を率先してやるなど。あらゆる泥臭い手段で信頼を勝ちとろうと動き続けました。

結果的には当時全国で一番名が売れたFPと言っても過言ではないほど成果を上げることができ、数百人の営業職員に対して「人に対する求心力」を持つことができました。

「人に対する求心力」を持つために大切なのは経験や権威などではなく、どんな状況でも逃げずに真摯に人と向き合う姿勢であることを、身をもって経験したのです。

お金や権威で人を動かすのではなく、行動と結果をもって「あの人のために動きたい」と思ってもらえるような状況をつくる。生命保険会社の原経験で培ったこの思想は、経営者として会社を率いる今になってもなお、私の根底に流れているように思います。

 

 

 

 

>第2話「「大企業・コンサル・投資ファンドを経て、経営者になるまでの道のり」に続く(7月下旬公開予定)

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。現在DIでは国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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