
「Makuake」代表中山が語る、起業家にとって重要な3素養とは マクアケ 中山亮太郎社長(第1話)
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」を展開する株式会社マクアケ。2019年には東証マザーズ市場へのIPOも果たした。そんな同社を牽引する代表取締役社長 中山亮太郎(なかやまりょうたろう)氏に、起業家にとって重要な素養、成長事業の創り方などについて、DIMENSIONの吉田俊也が聞いた(全6話)
「勝負強さ」「穿ち癖」「想いの編集力」
ーー中山さんが考える、起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?
1つめは「勝負強さ」。
どんなに戦略が良くてもスキルが高くても、最後に勝てなければ意味がありません。勝負所でしっかり成果を出せる「勝負強さ」を持っていること。これは成功する起業家に共通する素養だと思います。
中山 亮太郎/1982年生まれ
慶応義塾大学卒業。06年、サイバーエージェントに入社後、藤田社長のアシスタントやメディア事業の立ち上げを経て、2010年からはベトナムにベンチャーキャピタリストして赴任し、現地のネット系スタートアップへの投資を実行。13年、サイバーエージェント・クラウドファンディング(現 株式会社マクアケ)を設立し、代表取締役社長に就任。同年、産業支援のためのアタラシイ応援購入体験を提供するオンラインプラットフォーム「Makuake(マクアケ)」をリリース
2つめが常に物事を穿った目で見る「穿(うが)ち癖」。これは決してネガティブな意味ではなく、「本質を見抜く」「周囲に惑わされない」という意味です。
特にテクノロジー周りの領域では、毎年のように実体経済を伴わない「概念ワード」がいっぱい出てきますよね。そしてそれを評論家やメディア、投資家がもてはやすので起業家は振り回されがちです。
トレンドを素直に活用するという姿勢はもちろん大切ですが、それとは裏腹に、安易にトレンドに流されずに世の中の仕組みの本質を「穿ち癖」で見抜くことが重要です。
3つめは「想いの編集力」。
世の中の人々の「想い」はまさに十人十色。会社で一緒に働く仲間の「想い」も、ビジョンに共感して同じ方向を向いているように見えても微妙に違ったりするものです。
この様々な想いをどう紡ぎ、ビジョンと結びつけ、一枚岩なチームを作っていくか。これがトップの重要な仕事であり、「想いの編集力」が試されるのです。
ーー1つめの「勝負強さ」とは、具体的にどのようなものでしょうか?
「勝負強さ」とは競合に打ち勝つ強さではなく、「勝負の時に自分のベストタイムを出す」強さのこと。この「勝負強さ」を因数分解するといくつか要素があるので、それらを整理し、磨いていくことが重要だと考えています。
私が考える勝負強さの一つめの要素は「土俵際の強さ」。
成果が出るか出ないかの差は、いつも紙一重です。例えるなら、“0.9の頑張り”と“1.1の頑張り”では努力量は0.2しか変わらないけれど、このわずかな差によって結果が大きく違ってくる、といったイメージです。
なので土俵際の戦いを1つ1つ成功させていくために、わずかな努力を惜しまないこと。この積み重ねが「勝負強さ」に繋がってくると思っています。
もう一つ「勝負強さ」にとって重要な要素が「タイミング」です。
ここぞというタイミングが来た時に勝負できるよう準備しておくこと。そして集中力を発揮し、結果を残すこと。このメリハリみたいなものが「勝負強さ」に繋がります。
「タイミング」を見極め、「土俵際の強さ」を発揮する。これが私が考える起業家の「勝負強さ」ですね。
勝負のタイミングを見極める方法
ーー勝負のタイミングを見極める上で、中山さんが実践されていることがあればお聞かせください。
これはあまり社内メンバーにも言っていないのですが、街中の人を眺める時間を意図的に作っています。例えば出張先の商店街をウロウロしたり、丸の内のビル前で数時間ぼーっと道ゆく人を眺めたり(笑)。
何をしているかというと、道ゆく人に対して想像力を働かせているんです。「この人たちはどういうライフスタイルなんだろう?」「この人たちは何が欲しいんだろう?」、と。
抽象的な表現になってしまうのですが、そうやって想像し続けていると自分たちが思い描いているシナリオに無理があるか、それとも現実味のあるストーリーとして頭の中で想像できるか、自然と浮かびあがってくるのです。
もし現実味のあるストーリーとして頭の中で想像ができたなら、それが「勝負のタイミング」。
別にヒアリングしているわけではないのですが、街ゆく人を眺めて勝手に妄想し、タイミングを見極めるのが私のスタイルです。
ーー実際に現場を見て、シミュレーションするというイメージでしょうか。
そうですね。例えば、渋谷の人だけを眺めていても、渋谷の人は世の中的には少し先を行っている人たちなので、世の中全体を捉えることはできません。
同様に、ネット界隈で流行っているからといってそちらに飛びつくようなサービスは、トライアル経済の中だけに止まってしまって実体経済に入り込めないケースが多々あります。
色んな視点で想像力を働かせ、自分たちのやっていることがどういうものなのかを客観的に認識する。それが勝負の「タイミング」を見極め、世の中全体に広まるサービスを作る秘訣だと考えています。
>次ページ「私たちにはビジョンがある」
>マクアケの採用情報はこちら
>マクアケの公式HPはこちら
SERIESこの経営者の他の記事
OTHERS関連記事
-
#人事・組織
2017.05.30
秋元康がパートナーに求める条件とは SHOWROOM 前田裕二社長(第3話)
-
#人事・組織
2019.02.15
創業2年半で社員数360名超。急拡大する組織の熱量を維持する方法とは AnyMind Group 十河宏輔CEO(第3話)
-
#人事・組織
2020.02.04
子会社社長就任、そして上場。山口氏が語るキャリアの創り方 PR TIMES 山口拓己社長(第2話)
-
#M&A
2019.06.07
「デバイスデータプラットフォーム」で次の時代を創る トレジャーデータ創業者 芳川裕誠(第6話)
-
#人事・組織
2019.01.29
尊敬する仲間達と「初心者から、創れる人を生み出す」 Progate 加藤將倫CEO(第2話)
-
#ブランディング
2019.06.21
【イベントレポート:CEO Night】競争優位性を生み出す「サービスの世界観」 SHOWROOM 前田裕二社長(第2話)
RANKINGよく読まれている記事
-
1
#インタビュー
2020.12.08
起業から約10年。バルクオム 野口卓也CEOが身につけた起業家としての素養とは(第1話)
-
2
#起業家の素養
2020.02.07
SHIFT 丹下大社長が語る、成功する起業家に共通する3つの素養(第1話)
-
3
#起業家の素養
2021.01.13
起業家の素養は「自分への深い理解」から全て始まる ココナラ 南章行会長(第1話)
-
4
#人事・組織
2021.01.08
世界No.1へ向けてビジョンを“アップデート”した理由 バルクオム 野口卓也CEO(第4話)
-
5
#ビジョン
2020.09.24
AI契約書レビュー「LegalForce」誕生までの道のり LegalForce角田望CEO(第1話)
-
6
#海外展開
2021.01.19
メンズスキンケアブランド世界シェアNo1への道のり バルクオム 野口卓也CEO(第5話)
SNSDIMENSIONのSNS
DIMENSION NOTEについてのご意見・ご感想や
資金調達等のご相談がありましたらこちらからご連絡ください