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国内最大級スキルマーケット「ココナラ」創業ストーリー ココナラ 南章行会長(第3話)

「知識・スキル・経験」といった得意を売り買いする日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」。2012年のサービスリリース以来、順調に成長をし続け、ユーザー数190万人(2020年11月時点)を超えるなど、知識・スキル・経験を売買できる国内最大級のマーケットプレイスに成長している。同サービスを牽引する株式会社ココナラ 代表取締役会長 南章行(みなみあきゆき)氏に起業家としての素養、事業立ち上げなどについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの吉田俊也が聞いた(全6話)

世間からは非合理に見える「真実」を探せ

ーーココナラは「知識・スキル・経験」を売り買いできるスキルマーケットという新しいコンセプトのサービスですが、立ち上げの経緯についてお聞かせください。

我々は創業前にコンセプトや戦略を相当に練りこんでいて、大部分において創業前の仮説通りにここまでやってきています。そうなった要因の中で特に大切なのが「世間からは非合理に見える真実」が創業時から見えていたということです。

スタートアップを起業する際に、誰からも合理的に見えるビジネスプランというのは100%NG。なぜなら、その市場は大資本を持つプレーヤーが必ず勝つからです。

GoogleもAirbnbも、最初は誰も彼らが大きくなるなんて思っていませんでした。でも彼らだけに見えていた「真実」があって、それがいま現実となりました。

大きな事業を創る起業家のビジネスプランは「世間からは非合理」に見えなくてはいけない。そして、「起業家にだけ見えている真実」があることが鉄則なのです。

 

ーーココナラにおいて「世間からは非合理に見える真実」はなんだったのでしょうか?

我々は創業当初「500円均一のスキルマーケット」としてスタートしたのですが、1時間かかるような作業をたったの500円で売るのは合理的じゃないから売り手がいるはずがない、と最初はみんな思っていました。

しかし私たちだけに見えていた真実は「たとえ500円しかもらえなくても、自分のスキルを喜んで売りたい人がたくさんいる」ということ。

 

ーーなぜその真実に気づくことができたのでしょうか?

それは創業者である私がNPOをやっていて、お金をもらわなくても楽しく働く人たちを見て、その人たちのモチベーションの源泉に触れていたからです。だからこそ、金額の多寡は初期的には問題にならないということが見えていました。

一方でやってみないとわからない部分もありました。それは「“500円も”オンラインで知らない人のスキルに対して払う買い手がいるか」という部分。この点は様々なテストを繰り返し、実現性を検証していきました。

 

ココナラ「最初の1か月」舞台裏

ーー現在起業を考えるような人にとって、仮説検証の部分は非常に興味深いと思います。具体的にどのようなことをしたのかお聞かせいただけませんでしょうか?

スキルマーケットをやろうと思いついて、まず最初に画面イメージを作りました。その時点で今のサイトのデザイン原型はだいたい出来ていました。

その後、マーケット上で実際に売り買いされうるサービスを80個ほど考え、それを持って100人にアンケートを取りました。「この中でどれが欲しいですか?それはなぜですか?」と。

そのアンケートの結果、回答が“バラけた”ことで1つめの仮説がクリアになりました。

80個あるサービスの中で数個にニーズが集中してしまうなら、それに特化したサービスを作ればいいという話になってしまいます。しかし我々の仮説は、それぞれのスキル単体では大きなマーケットにならないようなニッチスキルをたくさん集めれば、新しいスキルマーケットを作ることができるというものだったので、ニーズが“バラける”必要があったのです。

さらには、男性と女性とでは、ニーズが大きく異なる傾向にあることも初期のアンケートを通してわかりました。男性は時間を節約するためにお金を使う一方で、女性は「話を聞いてくれる」といった心理的メリットを求める傾向にあったのです。

とにかく100人100様に“バラバラ”のニーズがあったことで、自分たちのスキルマーケットにニーズがあることを確信しました。ここまでのコンセプトメイキング、および文書化に要したのが1週間です。

 

ーーわずか1週間で大枠のコンセプトと仮説検証をされたのですね。次にどのような検証をされたのでしょうか?

次はオンラインだけでスキルを売り買いすることが本当に成立しうるのかテストしました。

具体的には無料の掲示板借りて、知り合いで何かしらのスキルを持ってそうな人たちをかき集め、「××ができます。相談にのります」と書いてもらったものをリスト化し、そのURLを別の人に送って「この中で相談したいものある?」と聞いて回りました。

そして相談したいものがあった場合、実際に掲示板の中でスキルを持った人と相談したい人同士でやりとりしてもらい、その行為に対してお金を払いたいと思うかどうか検証しました。これが2~3週目にやったことです。

ある程度の検証が完了したタイミングで、次に「相談の価値とは何か」、つまりユーザーに提供したい価値が何なのかを定義しようと考えました。

就活が終わったばかりの学生や結婚したばかりの女性、子供を産んだばかりのお母さんなど、明らかに何かに悩んでいそうな人たちを集め、「何に困ったか?」「どうやって解決したか?」「誰に相談したか?」「どのように相談したか?」というのをヒアリングしていきました。

その結果、「相談の価値」とは、ソリューションを得ることだけではなく、相手が自分のために時間をとってくれたというエモーショナルな部分がセットになって初めて価値になるものであるとわかりました。

ではその「相談の価値」をオンライン上で表現するにはどうすればいいか、何が本当に売り手と買い手にとってのバリューがあることなのかをひたすら検討していきました。

このとき、同時併行で「自分たちにできるのか?」というケイパビリティの部分も検証しています。具体的には、将来起こりうる課題をリストアップし、それに対して答えを持っていそうな人にひたすら話を聞きに行きました。

例えばクレーム対応するためのカスタマーサポートの人数が何人程度必要か見積もるために、クレームが多そうなITサービスを運営している会社のカスタマーサポート責任者に話を聞きに行くなど、相当数の課題をリストアップし、毎日2件以上は業界の第一人者たる人たちに話を聞きに回っていましたね。

このようにプロダクトの価値、および自分たちのケイパビリティを徹底的に検証したのが4から5週目のことです。

 

「アンフェア・アドバンテージ」を死ぬ気で考え抜く

ーー起業には仮説を立て、課題を特定し、それを実際に人に話を聞くことで検証していくスピード感と行動力が圧倒的に必要です。

これは創業初期の頃に、昨年お亡くなりになられた有名な投資家である瀧本哲史さんに、創業初期の頃、ビジネスアイディアを相談した際に行ったときに言われた言葉が原動力になりました。

「君と同じビジネスプランを持ってきた学生がいたら、そちらに投資する」と言われたのです。

たしかにココナラの創業メンバーはみなそれなりの年齢で、学生に比べると生活費だけでもかなりコストがかかります。そんなメンバーがこんな不透明なビジネスを検証しようと思っても、コストばかりかかってやれることは知れている、と。さらに続けて瀧本さんはこうおっしゃいました。

「そう言われるのが嫌だったら、君には何かあるだろう?アンフェア・アドバンテージが」と。

つまり、学生が真似できないようなことを死ぬ気で考えない限り、君達に投資はできないと言われたのです。そこから、他の人や学生たちにはできない、自分たちだけのアンフェア・アドバンテージが何かを死ぬ気で考えました。

「創業者がNPO出身だからこそスキルを誰かの役に立てたい出品者の気持ちがわかる」「ビジネスに対する知見はあるから、徹底的にビジネスリスクを洗い出して埋めていける」「話を聞くことができる人材ネットワークがたくさんある」

こうやって最初の3ヶ月は徹底的に自分たちにしかないアンフェア・アドバンテージを探し、学生にも負けない圧倒的行動力とスピード感で、課題を言語化しながら行動することにこだわりました。

これくらいやらないと、世界中で誰も成功していない「総合型スキルマーケット」という難しいビジネスは立ち上がりません。創業前の検証およびシナリオ構築で、勝負の大部分は決まっていたのかなと思います。

 

第2話>ココナラ 南章行会長が語る、自分の「強み」の見つけ方

 

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著者 吉田 俊也

著者 吉田 俊也

著者 吉田 俊也

情報系大学院の傍ら、ベンチャー企業にてシステム開発や技術書執筆を行い、株式会社NTTドコモに入社。NTTドコモでは、R&Dや他社が持つAI/IoT技術を目利きし、Web APIとしてビジネスアセット化することで、ベンチャー企業や全国自治体とのオープンイノベーションを推進。同時に、チャットボット開発PFを立ち上げ、企画、開発、マーケ、運用までの全プロセスに従事しグロースさせる。また、法人部門にて、デバイス開発や5Gに従事しつつ、Android EnterpriseのリーダーとしてGoogle社やメーカーと国内デバイス活用のエコシステム構築を行う。その後、株式会社ドリームインキュベータに出向し、国内ベンチャー投資・上場支援に取り組む。

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