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TVCM誕生と世界的な投資会社からの資金調達の舞台裏 ココナラ 南章行会長(第4話)

「知識・スキル・経験」といった得意を売り買いする日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」。2012年のサービスリリース以来、順調に成長をし続け、ユーザー数190万人(2020年11月時点)を超えるなど、知識・スキル・経験を売買できる国内最大級のマーケットプレイスに成長している。同サービスを牽引する株式会社ココナラ 代表取締役会長 南章行(みなみあきゆき)氏に起業家としての素養、事業立ち上げなどについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの吉田俊也が聞いた(全6話)

「売り手」「買い手」双方の集客法

ーーマーケットプレイス型の事業は、売り手・買い手双方を集める難易度が高いと言われていますが、その点についてどのように工夫して事業を成長させてこられたのでしょうか?

ココナラは創業から8年経ちますが、今まで売り手を集めるために広告費を使ったことは一度もありません。

先ほど「世間からは非合理に見える真実」(第3話リンク)で言ったとおり、ココナラのような場ができれば自分のスキルを売りたい人は口コミだけでたくさん集まってくる。そしてサービスが進化していくと共に、一流のプロフェッショナルも集まるようになる、というストーリーは計算通りでした。

一方で買い手は広告を投下してユーザーを獲得しています。「得意を売りたい」人はたくさんいるけれど、「得意を買いたい」という人はいないからです。「得意を買える」ではなく、お金を払ってでも解決したいニーズを抱えた人にアプローチしなくてはいけません。

ココナラで売られているサービスは約40万件種類あり、200ものカテゴリーに分かれてまが、一度サービスを買っていただいた後の利用継続率は非常に高い。

この継続率が非常に高いことがポイントです。買い手に一度使ってさえもらえれば、「困っていることがあればココナラに戻って来ればいい」と気づいてもらえるエコシステムが出来ているのです。

そのエコシステムがあるからこそ、積極的にテレビCMも投下しています。

 

「得意を売り買いココナラ」のCMが生まれるまで

ーー御社はテレビCMを積極的に活用されていますが、スタートアップがテレビCMを活用する上で気をつけるポイントなどがあれば教えてください。

世の中では面白いCM、オシャレなCM、あるいは話題になるCMをよく目にすると思います。しかしそれをスタートアップが安易に真似てはいけません。

もちろんブランディング目的のCMのやり方もありますが、それは認知率が戦略上すごく鍵になるとわかっている場合に限ります。多くのスタートアップの場合はかっこよさよりも、きちんと伝えたいメッセージに主眼をおき、ユーザーを獲得できるCMにするべきです。

加えて、CMとなった瞬間にどんぶり勘定で予算を投下するのもよくありません。

 

ーー近年ではテレビCMを活用するITスタートアップも増えましたが、御社が初めてテレビCMを企画した当初は苦労されたとお伺いしました。

新規性の高いビジネスのテレビCMを流す審査(考査)ハードルが高いのは事実です。得体の知れないサービスのCMを流すことで視聴者にどんな不利益を与えるかわからないからです。

特に我々の場合はITスタートアップがテレビCMを実施した実績がほとんど無い頃に企画をしたので、最初は日本中の全テレビ局にCM放映を断られてしまいました。お金さえ出せばテレビCMをやれる、と思って資金調達までしたのにまさかの展開でかなり衝撃をうけたのを覚えています。

特に我々のようなCtoCビジネスは当時少なく、一見するとかなりリスクがあるサービスのように見えたのでしょう。

 

ーーそのような状況をどのようにして乗り越えられたのでしょうか?

要は知らない会社がやっている見慣れないサービスを見て「怪しい」と思われていたわけなので、その不安を解消するしかありません。

我々の場合の解決方法は、100局以上のテレビ局の担当者をお呼びして説明会を複数回実施し、私が直接事業のプレゼンテーションをしました。さらには東名阪のキー局に関しては3日間ですべて周り、全局の担当者様と直接面談させていただきました。

元金融マンの私が正装をして実際に出て来るだけでも信憑性がわきますし、さらには数値や仕組みを見せながら、いかにビジネスとして起きうるリスクをシステムで防止しているか、理路整然と説明すれば納得もしていただけます。

あらゆるツテを頼ってテレビ局内で応援してくれる人たちを増やすことによって、最終的には全局でテレビCMの放映許諾をいただきました。CMを開始した以降もトラブルは皆無だったため、その後はスムーズに実施できるようになりました。

 

「フィデリティから資金調達12億円」の舞台裏

ーー先ほど少しお話があった資金調達についてもお聞かせください。2019年に世界的資産運用会社であるフィデリティ・インターナショナル社から12億円の資金調達をされていますね。

上場などのイグジットを目指すスタートアップにとって、持分比率というのは非常に大きな論点です。特にVC比率が高いと、上場時にはネガティブ要素として判断されます。また、上場後に海外投資家を誘引するためには、海外投資家に対する信頼感も不可欠です。

弊社にとってもその課題を打破したいという考えがあり、その打ち手として最適だったのが「上場後も株式を持ち続けてくれる、世界的な投資会社」に株主として参画してもらうことでした。

日本の未上場ベンチャー企業にこのような上場企業向け投資会社から出資を募る文化はほとんどありませんが、海外の非上場ベンチャーでは近年よく見られる資金調達形態です。

弊社に株主として参画いただいたフィデリティ社も主に上場企業に投資する世界トップクラスの資産運用会社ですが、海外の未上場ベンチャーに対する出資も積極的に実施しています。そこで「日本の未上場ベンチャーに興味はないか?」と打診し、結果的に出資いただけることとなりました。あのフィデリティが出資したとなれば世界中の投資家が、弊社に興味を持ってくれます。

互いにWin-Winのディールだったのです。

フィデリティ社が単独ラウンドで日本の未上場ベンチャーに出資したのは我々が初めてでしたので、界隈では衝撃的なニュースとして反響をいただきました。

 

ーーTVCM、ファイナンス共に、たとえ前例が無くても道を切り拓く姿勢が非常に印象的です。

何事も「初もの」はハードルが高い。

これはテレビCMやファイナンスに限らず、ほかの事柄でも起こりうることだと思います。

でもその道を切り拓くからこそ後進が後に続くことができるわけなので、これからもココナラが新しい道をどんどんと切り拓いていきたいですね。

 

第3話>国内最大級スキルマーケット「ココナラ」創業ストーリー ココナラ 南章行会長

 

 

 

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著者 吉田 俊也

著者 吉田 俊也

著者 吉田 俊也

情報系大学院の傍ら、ベンチャー企業にてシステム開発や技術書執筆を行い、株式会社NTTドコモに入社。NTTドコモでは、R&Dや他社が持つAI/IoT技術を目利きし、Web APIとしてビジネスアセット化することで、ベンチャー企業や全国自治体とのオープンイノベーションを推進。同時に、チャットボット開発PFを立ち上げ、企画、開発、マーケ、運用までの全プロセスに従事しグロースさせる。また、法人部門にて、デバイス開発や5Gに従事しつつ、Android EnterpriseのリーダーとしてGoogle社やメーカーと国内デバイス活用のエコシステム構築を行う。その後、株式会社ドリームインキュベータに出向し、国内ベンチャー投資・上場支援に取り組む。

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