家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す ユニファCEO 土岐泰之(第4話)

「家族の幸せを生み出す あたらしい社会インフラを 世界中で創り出す」をパーパス(存在意義)に掲げ、次世代型保育施設「スマート保育園®」というコンセプトを軸に、午睡センサー、フォトサービス、体温計、シフト管理などのサービスを通して、保育業界全体のDXを牽引するユニファ株式会社。累計資金調達額は約90億円に上る。そんな同社代表取締役CEOの土岐泰之(とき やすゆき)氏に、起業家の素養や事業成長のポイントなどについて聞いた。(全4話)

パーパスドリブンの「バケツリレー」

ーー人材採用において意識されているポイントをお聞かせください。

私たちのパーパス(存在意義)である「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」への共感。そして私たちが解決しようとしてるビジネスイシューに対してのスキルセット。この2つが高い次元で両立されていることを大事にしています。

そのために最初に重要なのは、能動的にパーパスや想いの部分を発信していくこと。そのことによって採用母集団を作っていきます。

その上で私が面接でよく見ているのは「その人の人生のストーリーと、私たちが進もうとしている方向を結び付けられるか」ということ。

子どもの教育のために何かやりたい、政治家になって小児行政がやりたい、保育施設の園長先生になりたい。どんな夢でもいいので、「ユニファで働くことがその人の夢を前進させるかどうか」が、仕事のモチベーション源になると思っています。

 

ーー組織作りについてはいかがでしょうか?

私たちは保育業界全体を変えていこうとしているので、とにかく職種の幅が広いです。エンジニアもすべての職種がいますし、営業もあればカスタマーサクセス、上場準備チームもある。

そこで私がよく言っている言葉は「バケツリレー」。顧客が幸せになるためのバケツを、みんなで繋いでちゃんと運んで行けるどうか。相当「バケツリレー」をしないと、業界全体を変えるような社会インフラを創ることはできません。

全社会議では、会議後にアンケートを取ってメンバーからアイディアをもらっています。それを私は全て受け止め、次回の全社会議で全て説明していきます。メンバーの腹落ち感を醸成するために会社の中のストーリーを作っていく。それがまた顧客のストーリーになる。

パーパスに向かって「バケツリレー」が適切に動いていく組織マネジメントは、まさに今強化してるところです。

 

ーー組織が大きくなるにつれて、組織の縦割り化が進んでいくケースも多く見られます。組織マネジメントにおいて意識されているポイントをお聞かせください。

従業員が百人を大きく超える規模になった今、キーワードとして社内に発信しているのは「多能工化」と「挙党態勢」です。

例えば営業は一番顧客課題をリアルにわかっていますので、「多能工化」すれば顧客のかゆいところに手が届くUIUXや機能を生み出すプロダクトディレクターとして活躍できます。

それでもなお、急成長を続けるとどうしても足りない人財ピースが出てきます。そんなときは「挙党態勢」で近しい人が集まって頑張る。

イメージは学園祭の準備のような、そんなモメンタムを維持することが大切だと思っています。

一方で、パフォーマンスが芳しくない場合は、フェアなフィードバックも同時に必要です。「やりたい!」という人は沢山いるけれど、成果が残せなければ意味がありません。

本当の意味での「温かさと厳しさ」をバランスさせていくことを意識しています。

 

ユニファ良しが、顧客良しで、社会良しへ

ーーバリューについてもお聞かせください。「One More Step」「Play Fair」「Triple Win」を掲げられています。

バリューは全社を巻き込んで策定してきました。

まず根幹となるのが「Triple Win」。ユニファ良しが、顧客良しで、社会良しへ。三方良しに近い考えです。

私たちは「社会インフラを創る」ことを目指していますので、顧客と私たち、社会の三つのバランスが取れていることが必要不可欠です。

その上で個々人として何をやるべきか考えたときに、一番は「One More Step」。顧客視点で突き抜けたものを創ろうとするとならば、1日1%でもいいから、深く考え、成長し続けなければいけない。苦しいけれど、逃げてはいけないスタンスです。

そして「One More Step」を始めると、人というのはどんどん視野が狭くなってきます。その時に「Play Fair」、つまりオープンで公明正大な議論が必要となります。個人がチームとして戦うために必要な価値観です。

「社会インフラを創る」ためには、この3つの要素が必要なのではないかというプロセスで、私たちはバリューを策定しました。

 

ーーバリューを組織にどのように浸透させていますか?

例えば弊社の今期のテーマは「伴走」なのですが、これを発表する時にも「Triple Winを実現する上で『伴走』が必要です」という風に、日常的にバリューを会話の中で使っています。

「テストセールスのメンバーがOne More Stepしてくれて、いいインサイトが見えてきました!」「これはまだ解がわからないので、Play Fairに意見くださいね」という形です。

まずは日常の会話の中から始め、次にバリューを人事評価制度に紐づけることや、社内のアワードでパーパスを体現した人を褒め称えるといった形で浸透・体現につなげていこうと考えています。

 

保育業界全体のDXを牽引していく

ーー今後のビジョンについてお聞かせください。

保育業界のDXを成し遂げていく。これはちょっと生産性を上げるというレベルではなくて、業界が持つ付加価値そのもの上げる、ということを目指しています。

現状でも私たちのICTサービスを全部導入していただいた施設の中には月約65%以上の作業時間を削減できた施設もあるのですが、これで生まれた時間を「教育・保育の質向上」に充てていきます。

具体的には、私たちは一人ひとりの子どもの成長ストーリーを0歳児の頃からデータで可視化できるポジションにあります。何に関心があって、どんな友達ができて、といった子どもの発達状態や興味関心などの「子どもの声なき声」をデータ化できるのです。

このデータを活用することで、子ども一人ひとりに合わせた絵本や備品、玩具がおすすめできるようになっていきます。それができると保育者の方は当然キャリアアップになりますし、売上の一部を保育施設に還元すれば保育者の処遇改善にもつながっていきます。

さらにそれらが実現できれば保護者は感謝してくださいますので、その施設がより保護者や子ども達から選ばれるようになって保育施設の経営が安定化していく。つまり保育施設、ひいては保育業界の持つ付加価値が高まっていくはずです。

これが、私たちが言っている「スマート保育園®」であり、業界DXです。

日本には0から6歳児の子ども達が約600万人いますが、その半分くらいの子ども達のデータを私たちが預からせていただいて適切な発達・教育支援を行うことが一つのマイルストーンなのかなと考えています。

そして次はグローバルです。

特にアジアは子どもの教育への投資熱が日本の何倍もあります。0歳児からバイタルデータを溜めながら、子ども一人ひとりに合わせた発達支援を行うことに対して、ものすごく興味関心を持っていただいています。

すでにシンガポールの保育施設では、私たちの幼児向けヘルスケアや体動センサーのPOCを実施しています。

今後アジアを中心に、私たちのジャパンスタンダードの「スマート保育園®」を展開していきたいと思います。

 

ーー最後にこのメディアの読者に向けて、メッセージをお願いいたします。

ユニファの挑戦は「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」こと。

私はプライベートでの子育てや商社・コンサルでの経験など、自分の人生のテーマをずっと探し続けてようやくこのテーマに出会うことができました。

「家族の幸せを生み出す社会インフラ」は世界中で待ち望まれていると信じています。

私たちのパーパス、挑戦に対して共感いただける方。もしくはそれがご自身の人生のテーマになんらかの紐付け、関係性がありそうだという方々と一緒に挑戦して行きたいと思っております。

目先のところでは保育園、幼稚園、こども園、学童。こういった業界のDXを世界最先端のテクノロジーを活用して成し遂げつつあります。この挑戦の先には子育て世代の皆さんの新しい幸せを生み出していったり、ゆくゆくはアジアを中心としたグローバル展開というものを実現していきたいと考えています。

ユニファの挑戦に対して共感いただける方は、是非様々な形でお声がけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

※インタビュー記事は2021年6月10日現在の内容です

 

 

 

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DIMENSION 編集長

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「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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