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学生でも分かる資金調達・資本政策のポイントー第1回 資金調達の種類ー

DIMENSIONチームでは高校生~大学生のみなさんにも積極的に出資をしています。しかし、株式、融資、資本政策等の用語は、とっつきにくく分かりづらいことが多いのではないでしょうか。本稿では、基本的な用語の定義やお薦めの書籍についても紹介しながら、資本政策、資金調達の基本的な知識や考え方についてお伝えします。

連載を予定している内容

  • 資金調達の種類の概要⇒今回
  • 創業者の持分が希釈化していくことの意味
  • 自社のビジョン、ビジネスモデルにあった最適な資金調達の選び方
  • エクイティ調達のポイント(タイミング、バリュエーションの実際)
  • 融資と株式でのハイブリッド調達
  • 資本政策表の読み方、作り方
  • 調達ステージごとの適切なエクイティの契約スキーム
    (J-KISS、みなし優先株、転換社債型新株予約権、普通株式、優先株式)
  • 資金調達の手続と契約
  • 金融機関、株主との継続的なコミュニケーションの方法/株主定例の実施方法

資金調達の種類

株式会社が行う資金調達には、大きく分けて2種類の方法があります。1つは、銀行から融資による調達(デットファイナンス)、もう1つはDIMENSIONのようなベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に株式(=株式会社の社員たる資格、権利のイメージ)を引き受けてもらう株式発行による調達(エクイティファイナンス)です。いずれも、企業自身の事業の進捗や財務状況、与信をもとづき、バランスシート(B/S)を用いて資金調達を行う点で、コーポレートファイナンスと呼ばれます。

融資の特徴

融資の特徴としては、借りたお金の元本(がんぽん)には、返済の期限が設定され、元本の返済と併せて元本に対する金利、利子を定期的に支払う必要があります。銀行からの融資はバランスシート上、負債の部門に計上されます。金利は近年の低金利で大変安くなっていますが、それでも、まだまだ与信がないスタートアップの場合、元本に対して年間1~2%前後を支払う必要があります(利子の料率は、事業の進捗や業績によります)。銀行による融資の判断の材料は、過去の決算書、直近の業績進捗です。基本的には過去実績に基づき、貸倒(かしだおれ=回収できなくなること)の可能性がなさそうか、しっかり利子、元本を返済してくれそうかという観点での融資の審査が行われます。事業資金の融資に当たっては会社側の与信によって、以下の条件が設定されます。

  • 融資期間、返済条件
  • 担保の要否(社長が連帯保証人になるかどうか等)
  • 保証協会付融資か、プロパーか(※)

 

※保証協会付融資とは、借主の返済が滞った場合、信用保証協会という公的機関が借主に変わって金融機関に対して立替払いを行う制度です。与信がこれからのスタートアップの場合、本制度の利用を求められるケースが多く、保証を信用保証協会に担ってもらう対価として、所定の信用保証料を支払う必要があり、通常の融資より費用として割高感があります。信用保証協会の保証がつかない融資をプロパー融資といいます。ある程度の事業実績がでてくるとプロパー融資の利用ができるようになっていきます。

まだまだ実績がないシードステージの企業に対して融資がつかないかというと、そのようなことはなく、創業期の企業向けに「創業融資」という制度があります。日本政策金融公庫等が提供しており、多くの創業期のスタートアップが活用しています。

■日本政策金融公庫の新創業融資制度:利用条件、融資上限額、利子など

株式の特徴

株式発行による資金調達の特徴は、調達した資金を株主に対して返済する必要がない点です。バランスシート上、返済の必要がない自己資本に計上されます。出資者には、資金調達の対価として、新規に株式を発行する形となります。

株式を発行することの意味合いについて、具体的なイメージをもっていただくために例でお伝えします。株式会社をゼロから新たに設立する場合、資本金の出資を行う必要があり、会社の創業者が100%を保有します(共同創業の場合、共同創業者で合計100%を保有します)。その後、例えば、発行済みの株式の総数が9000株の株式会社が1株1万円の値を付けて(=Pre時価総額9000万円)1000株発行し、1000万円資金調達を行った場合(=Post時価総額1億円)、新たに株式を引き受けた株主は、1000株÷発行後の株式総数1万株=10%の株式を保有します。

新たに株式を発行すると既存の株主の持分比率は下がります。これを「希釈化」といいます。上記の例だと創業者の保有比率は、9000÷1万株で、100%から90%まで希釈化します。このように、株式会社の大きな特徴は、株主の地位が「株式」という細分化された割合的単位の形をとる点にあります。AさんがXX株を保有しシェアXX%、BさんがXX株を保有しXX%を保有しているといった、株主名、保有数、比率を記載し、どのような株価でいくら調達を予定しているのか記載する表のことをCapTable(資本政策表)と呼び、ベンチャーキャピタルが出資検討する際に必ず提出を要する資料の1つです。

株式を保有する株主は、会社法上、大きく分けて2つの権利を保有します。1つは、経済的な権利(自益権と呼ばれ、剰余金の配当や会社が清算する際に残る財産の分配を受ける残余財産の分配権等)、もう1つは経営に参与し会社経営を監督・是正する権利(共益権と呼ばれ、会社の重要な事項を決める株主総会の議決権等)です。

このように見ると、発行体である会社にとっては、元本を返済する必要がない資金を調達できる代わりに、会社の持分ともいえる、会社経営にとっては非常に重大な権利を株主に付与することになるため、誰にどのくらいの株式を渡すかは重大な意思決定となります。

株式の発行手続の詳細や株主が保有する権利については、「会社法」という法律で規定がされています。もっと詳しく、細かく知りたいという方には、会社法 第4版 (LEGAL QUEST)の書籍がお薦めです(通称:リークエ会社法)。

エクイティについても、大きく以下のようなスキームが存在します。J-KISS、みなし優先株、転換社債型新株予約権、普通株式はシードステージでの調達オプションで、優先株式はシリーズA以降で通常用いられるスキームです。

それぞれのスキームの特徴については、本連載の後半で詳細について説明をしていきます。

  • J-KISS(コンバーティブルエクイティ)
  • みなし優先株
  • 転換社債型新株予約権(コンバーティブルノート)
  • 普通株式
  • 優先株式

 

次回は、増資を行って、株式が希釈化していくことの意味について具体的に説明をします。

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