「破壊者」ではなく、社会と「共存」するベンチャーのあり方 ペイミー 後藤道輝CEO(第4話)

「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」をミッションに、給与即日払いサービス「Payme」を提供している株式会社ペイミー。2017年11月の正式リリース以来、約半年で導入企業100社を突破し、FinTech界でも注目を集めている。同社の代表取締役CEO後藤道輝氏が考える起業家としての素養や事業立ち上げのポイントについて、Venture Navi 編集長であり、同社の社外取締役も務めるドリームインキュベータ の下平将人が聞いた。(全5話)

業務提携成功のポイントは「当たり前」を徹底すること

下平:先日リリースされた東京スター銀行との業務提携をはじめとして、企業間の業務提携をうまく推進されている印象です。何か意識されているポイントはありますか?

後藤:「提携メリットを理解してもらうこと」「ビジョンに共感してもらうこと」という、至極当たり前のことに集中しています。

提案を持っていくときには、足元の実績に貢献できる事業シナジーを定量的に試算していきますし、合わせて「最終的にはノーベル賞がとれるくらいの社会性が高いプロジェクトにしたい」という大きなビジョンを熱く語るようにしています。

単純に若い起業家が小手先で起業しているのではなく、本気で「Payme」を大きなビジネスにして、10代20代の若者が健全な資産形成ができるようにしたいという思いを語ることで、相手の担当者の方にも本気になっていただけます。

 

下平:提携はしたものの、その後の実行フェーズで止まってしまうケースも世の中には散見されますが、その点はいかがでしょうか?

後藤:これは株主からの力の引き出し方(第2話)と同じで、「事前準備がすべて」です。事業提携をゴールにするのではなく、提携前から提携後のことを事前に決めておくことが大切です。

具体的な話でいうと、「提携後は1ヶ月何本同行アポに行く」といった解像度で合意形成をするようにしています。加えて、担当者同士は密にコミュニケーションをとって、お互いに遠慮の無い関係性を構築することも非常に重要だと思います。

 

PRは点ではなく線で。社会と「対話」することこそが重要

下平:PRについても非常に上手く実施されている印象です。PR戦略で重要視されているポイントはありますか?

後藤:大前提として、最初から上手く出来ていたわけではありません。「Payme」は当初はステルスで事業を推進していくつもりだったんです。ところが、「給与即日払いサービス」という認知度の低いプロダクトをいきなり導入していただこうとしても、怪しまれてしまうことが多かったため、方針を切り替え、後天的にPR体制を構築していきました。

弊社にとって、PR・パブリックリレーションズは「社会との対話」のチャンスです。一方通行に自己満足のメッセージを押し付けるのではなく、世間の反応を見ながら、双方向的に対話していくことが大切だと考えています。

 

下平:たしかに、プレスリリースを出して終わり、というケースも多くあるように思います。

後藤:「社会と対話する」という意識を持てば、発信するメッセージも改善していくことができますし、リリースを出して終わりではなく次に繋げていくことができます。

例えば、メディアのパブリシティに乗せてもらいやすい題材として「KPI成長度」や「資金調達額」などがあげられますが、「Payme」に関してはサービスの社会的意義を問われることが多かったため、「導入企業の声」を意識的に入れ込むようにしています。実際にサービスを導入してくださった会社の方達が「役に立った」と言っていただけるだけで、社会の反応は大きく変わるんです。

ですので、PR戦略の重要なポイントは、点の発信になるのではなく、発信後の「対話」の部分までストーリーをつくることだと思います。

 

 

下平:「社会との対話」という観点をさらにお聞きします。スタートアップが既存産業や固定概念とぶつかった時に、どのように乗り越えていけばよいのでしょうか?

後藤:「破壊と創造」の二元論ではなく、「共存」するための対話が大切だと考えています。

「Uber」が世界に流行ったからといって、既存タクシーが絶滅するかというとそうではない。「Airbnb」の登場でホテルがなくなるわけでもない。「破壊者」ではなく、みんなが一緒に市場を盛り上げていく「仲間」だという発想を持つようにしています。

「Payme」の給与即日払いサービスも、カードローンや貸金業を利用する人がたくさんいるからこそ、成長していく産業です。そのため、反対意見の人の声も丁寧に聞き、衝突でなく「対話」をすること。「共存」していく選択肢を増やすためのコミュニケーションを真摯に続けることが重要だと思います。

 

 

>第5話「機会損失を無くす資産形成サービスで「ノーベル賞」を目指す」に続く

>ペイミー公式HPはこちら

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筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

筆者 下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

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