学生起業から身につけた起業家としての思考法 ジーンクエスト 高橋祥子社長(第2話)

「未来のための遺伝子解析を」を掲げ、日本最初の個人向け大規模遺伝子解析サービスを提供する株式会社ジーンクエスト。日本人の遺伝情報に特化した研究情報をもとに信頼性の高いデータを提供している。同社代表取締役の高橋祥子氏に、起業家にとって重要な素養、遺伝子解析の未来などについて聞いた。(全4話)

「エモーション」と「ロジック」の行き来

――起業家の素養として(第1話リンク)「 エモーションとロジック」を両方持ち合わせることを挙げられていました。高橋さんはその素養をどのように養われたのでしょうか?

これは起業で数多くの困難を乗り越えるうちに身についた素養だと思います。自分がネガティブな感情に苛まれているときに、そもそも何が自分をそう思わせているのか、ということを客観的に考えるようになったのです。

例えば私の場合、個人向けに大規模な「遺伝子解析サービス」を展開するのが日本で初めてのことでした。初めてのことなので、それを禁止する法律もなければ、守る法律もない。

そんな状況下でサービスを始めると、様々な反対意見をいただきました。「遺伝子解析」という得体の知れないものに対して、拒絶反応を示す人が多かったのです。

色々と言われてつらかったのですが、起業家である以上、その自分のネガティブな感情を放置しておくわけにはいきません。そこで、拒絶反応を示す人の心理を客観的に分析してみることにしたのです。

結果、「人はわからないものに対して本能的に恐怖を感じやすい」「革新的な趣向の人もいれば保守的な人もいるからこそ、人類の多様性が担保されている」といった結論に至りました。要は、人間の全体最適として「反対する人」がいるのは当然だと考えられたのです。

そう考えられるようになると、自分のネガティブな感情がなくなっていきました。自分のやっていることを、世界の構成要素の一つだとメタ認知できるようになったからです。

一方で、そうやって物事を客観視ばかりしていても、人間として魅力的ではなくなってしまいます。「エモーション」こそが世界を変える原動力になります。

なので「ポジティブな感情」、たとえば「楽しいから好き」とか「ゲノムは絶対に可能性がある」といったことに対する感情は、自分の主観として大切にしています。

「エモーションとロジック」、言い換えると「主観と客観」の行き来。このように思考の枠を行き来することは、起業家になってから養われた力だと感じています。

 

「時間軸」を変えて思考する

――起業家の素養として(第1話リンク)で挙げられた「時間軸の認識」は、どのように身につけられたのでしょうか?

ささいなきっかけなのですが、「時間軸の認識」の大切さに私が気づいたエピソードをお話しします。

私には弟がいるのですが、小学生だった頃に私が冷蔵庫にとっておいたアイスを食べられて喧嘩をしたことがありました。その1週間後に母親が「弟が食べちゃったから」とアイスを買ってきてくれたのですが、その時には私は怒りをすっかり忘れてしまっていました。

そこで気がついたのは、「弟にアイスを食べられた瞬間に、1週間後にタイムスリップできれば腹が立たない」ということ。その経験から、「今の時間軸で考えること、1週間後1年後10年後の自分に立って考えること」を思考実験として繰り返すクセがついたのです。

プレゼンで緊張する時でも1年後から見たら「そんなこともあったな」と思えるし、努力が辛くても1週間後から見れば「やってよかった」と思えればつらくなくなります。

さらに起業してからは「今の取り組みが将来的にどういう意味を持つか」と、時間軸を変えて事業を判断することが増えました。

常に思考に対して「時間軸の認識」を持つこと。これは起業家が困難を乗り越える上で大切な思考法だと思います。

 

 

>第3話「成長し続ける「遺伝子解析」領域に貢献する」に続く

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著者 城戸 大輝

著者 城戸 大輝

著者 城戸 大輝

早稲田大学理工学部を卒業後、NTT東日本に入社。NTT東日本ではネットワークエンジニアとして光アクセス回線網の設計や設備投資戦略策定、新規保守サポートビジネス立上げ等を経験した後、DIに参画。DIでは国内ベンチャー投資や投資先への経営支援に加え、戦略コンサルティングとして大手メーカー等の新規事業創造等に携わる。

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