社内外を牽引する、イントレプレナー成功の3条件 リンクアンドモチベーション 麻野耕司取締役(第4話)

企業組織の変革を支援するコンサルティング会社「リンクアンドモチベーション」。組織改善クラウド「モチベーションクラウド」の立ち上げなどで、スタートアップ界でも大きな存在感を放っているのが、同社取締役の麻野耕司氏だ。2019年4月に発売された著書「THE TEAM〜5つの法則〜」(幻冬社)は発売2週で5万部突破のヒットを記録している。そんな同氏が語る、成功する経営者の素養、成長する組織・事業の生み出し方とは。(全5話)

「社内政治を舐めるな!」

ーー新規事業を進める際の社内合意形成において、何か意識されていることはありますか?

社内の合意形成、響きの悪い言葉で言うと「社内政治」はすごく大事だと思っています。

私は起業家ではなくイントレプレナーなので、自分だけで全てを決めることはできません。当然ながら新規事業を立ち上げるうえでは取締役会での合意形成が必要になります。

この合意形成がうまく進まずに嘆く大企業の方が多くいるのですが、これは甘えだと思っています。「社内政治を舐めるな!」と言いたい。

起業家の方は投資家から投資してもらうために何度でも事業計画を練り直し、何度でも投資家のもとに足を運びます。そんな起業家にとって「VCが話を聞いてくれなくてさ…」なんて甘えは許されませんよね。

企業内のイントレプレナーも起業家と同じくらいの気持ちで社内の合意形成に臨むことが大切です。役員陣に対して何度でも説明を繰り返し、合意が得られるまで事業計画をブラッシュアップし続けなくてはなりません。

 

ーー「モチベーションクラウド」も社内の合意形成で難局があったのでしょうか?

一番最初に事業計画書を役員会に出した時には「ITにかぶれてるんじゃないか」と言われたりもしました。そこから何回も事業計画書を作り直し、外部の方にもアドバイスをいただきながらようやくGoサインを獲得しました。

その後も、今のような形で会社から投資を受けられるようになるまでには、たくさんの道のりがありました。この過程は、イントレプレナーとして必ず乗り越えなければならない道だったと思います。

社内の合意を得るための3条件

ーー社内の合意形成において大切にされていることをお聞かせください。

3つ挙げるとすると、1つ目は「社外の声」をデザインすること。

モチベーションクラウドも、事業を発表したときに社内メンバーよりも好反応を示してくれたのは社外の投資家でした。彼らの声を拾い、役員陣にしっかり届けるというところまでデザインすることで、事業に対する社内評価も少しずつ変わっていきました。

転職口コミサイト「Vorkers」に出資したときも、出資リリースが出た際のSNS上のコメントなどは全て拾い、広報から役員陣にレポートしてもらっています。

このように「社外の声」を愚直に拾い集め、経営陣に届く導線をデザインすること。これはイントレプレナーならではのポイントだと思います。

 

ーー2つ目のポイントについてはいかがでしょうか。

2つ目は「動機が善」であることです。尊敬する稲盛和夫さんも「動機善なりや、私心なかりしか」とおっしゃっていて、この言葉を非常に大切にしています。

自分の出世や評判のために事業をやる人間は社内からも応援してもらえません。逆に、「本当に社会や会社、顧客のことを考えているんだな」と思ってもらえたら、必ず応援してもらえるようになります。

私は決して強い人間ではないので、とにかく意識的に自分の動機を善に保つこと、自分を律して生きることを心がけています。

例えば、今回出版した「THE TEAM 〜5つの法則〜」に関する印税もすぐに放棄しました。そんなことしなくても応援してもらえるスターはいるかもしれませんが、私のような凡人は、とにかく思いにまっすぐ生きないと応援してもらえないと考えています。

このポイントはイントレプレナーに限らないかもしれませんが、「動機が善」であることは多くの人に応援してもらうための条件だと思っています。

 

 

ーー最後の3つ目のポイントもお聞かせください。

3つ目のポイントは「実績」です。人に評価されるとき、必ず自分の過去の延長線上に未来を見られるからです。

この「実績」という言葉にはもちろん成果という意味も含まれますが、それ以上に大切なのが「約束を守ってきた」ということ。引き受けたことは絶対にやりぬく、といった姿勢を見せ続けることが大切です。

私の場合、モチベーションクラウドを立ち上げる前にコンサルティング事業立て直しをやりきりました。苦しい頃に子会社社長というキャリア的には良いポストへの異動を提示されたこともあったのですが、やり切らずに異動するのはみっともないと固辞しています。そして苦しい局面を乗り越え、事業を立て直しました。

そんな過去の積み重ねがあるからこそ、「こいつならなんとかするんじゃないか」と思っていただけているのだと思っています。

まとめると、「社外の声」をデザインすること、「動機が善」であること、「実績」を積み重ねること。これが社内合意形成を進めるイントレプレナーにとって大切な条件だと思います。

 

 

>第5話「100年後も組織を変革し続ける「法則」を提供したい」に続く

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リンクアンドモチベーション 麻野耕司取締役 著書 「 THE TEAM 〜5つの法則〜」発売中

著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。現在DIでは国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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