起業家は世界で一番「ユニーク」たれ アルファドライブ 麻生要一社長(第1話)

リクルートで社内事業開発プログラム「Recruit Ventures」や、スタートアップ支援プログラム「TECH LAB PAAK」などの新規事業を次々と立ち上げてきた麻生要一氏。2018年に起業し、企業内新規事業を支援する株式会社アルファドライブ立ち上げた。そんな同氏が考える起業家、社内起業家(イントラプレナー)に求められる素養とは?(全5話)

新規事業=顧客の創造

ーー麻生さんが考える起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

起業家、そして企業内新規事業を立ち上げる社内起業家にも共通しますが、新しい事業を起こすということを突き詰めると、すべて「顧客の創造」という答えに辿り着きます。

なので「顧客起点」ですべての物事を考えられることが起業家にとって最も重要な素養です。

 

麻生要一
株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)に入社後、IT事業子会社(株式会社ニジボックス)を創業し、社長として経営。社内事業開発プログラム「Recruit Ventures」やスタートアップ企業支援プログラム「TECH LAB PAAK」など、次々と新規事業立ち上げを経験したのち、2018年に企業内インキュベーションプラットフォームを手がける株式会社アルファドライブを創業。また、2018年4月に医療レベルのゲノム・DNA解析の提供を行う株式会社ゲノムクリニックを共同創業。「UB VENTURES」ベンチャー・パートナー、ニューズピックス執行役員も務める。

 

例えば「戦略」や「テクノロジー」といった聞こえの良い言葉を使いたがる人がいますが、それは事業立ち上げ時にはノイズです。「顧客がお金を払ってくれるか」「顧客の満足度が高いか」「顧客に次回も買ってもらえるか」という点に100%の力を注ぐべきなのです。

 

ーー「顧客起点」の重要性は前職のリクルートでのご経験で感じられたことなのでしょうか?

そうですね。私は前職のリクルートで社内起業家として経営者をやったり、新規事業開発室長として1,500件ものありとあらゆる新規事業の立ち上げを経験してきました。

それらの新規事業の中で立ち上がったものは、振り返るとすべて「顧客起点」で考え尽くされた事業でした。顧客のことだけを見て行動した事業のみが成功し、そうでない要素を入れたものはどこかで行き詰まっていくのです。

なので「顧客起点」で事業を突き詰めて考えるのは、新規事業を立ち上げる人にとって必須だと思います。

 

起業家は「ユニーク」であるべき

ーー残り2つ、起業家にとって重要な素養を挙げるとすると何でしょうか?

あと2つ挙げるとすると「原体験」と「ユニークさ」です。

最初は顧客のところに仮説やプロトタイプを持っていったとしても、「値段が高い」「つまらない」「いらない」など否定され続けます。私は「300回顧客のところに行けば新規事業はできる」とよく言うのですが、それは裏を返すと「300回否定され続ける」ということです。

そんな中でより深い顧客インサイトを探りながら、適合するソリューションを見出していく道のりは本当に苦しい。そんな苦しみを乗り越えるためには「原体験」が必要となります。

特に自分でリスクを背負う起業家は「原体験」をもとにした課題意識と事業内容がつながっていないと、苦しい道のりを乗り越えられないでしょう。

 

ーー「ユニークさ」についてはいかがでしょうか?

これは必要、というよりも私が「起業家とはこうあるべき」と考えていることです。「ユニークさ」、すなわち世界で誰もやっていないサービスやアプローチを起業家はやるべきだと思っているんです。

誰かが既にやっている事業を効率的にやるだけなら、それは起業家ではなく、大きな企業の下で優秀なサラリーマンがやればいい。そういった大きな企業ではできないからこそ、起業家という人種の存在価値があるのです。

誰も作ろうとしなかった世界を作ろうとすること、誰も解こうとしていなかった課題を解くことこそが起業家の存在意義。そういう意味で「ユニークさ」を持つことは起業家のあるべき姿だと思います。

 

ーーそのように考えるに至ったきっかけがなにかあったのでしょうか?

「TECH LAB PAAK」で出会った起業家たちの影響が大きいと思います。

3年間で300社1,100人もの起業家を支援してきましたが、彼らはまだビジネスプランも定まっていないような本当に創業前の方たちでした。エンジェル投資家にすら話を持って行けないステージの方たちです。

そんな人たちの中で私が「応援したい」と採択した人たちの共通点。それは「何を言っているのかはよくわからないけれど、感動した」ということ。世の中に前例がないのですぐには理解しづらいのですが、作りたい世界について目を輝かせて語る人たちばかりでした。

プログラムの支援を通して徐々に事業が形になってきたときに、初めて彼らが言っていたことを理解できる瞬間がたくさんありました。「あの時言っていたのは、このことだったのか!」と感動したことを覚えています。

私が社内起業家としてではなく、自身でリスクをとって起業しようと決めたのも、あまりにも輝いて見える起業家たちと出会って、「自分もそちら側に行きたい」と思ったからです。

起業家である以上、まだ世にない世界をつくるために「ユニーク」であり続けたいと思います。

 

 

>第2話「解くべき「問い」を定めることから始めよ」に続く

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。現在DIでは国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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