
デジタルマーケティングで社会を良くする事業家集団ナイルが語る「デジマの本質」 高橋飛翔社長(第4話)
「デジタルマーケティングで社会を良くする事業家集団」を標榜するナイル株式会社。月間利用者数1,000万人を超えるスマホアプリ紹介サービス「Appliv」や、車のサブスクリプションサービス「おトクにマイカー 定額カルモくん」など、多領域に渡り注目サービスを生み出し続けている。そんな同社代表取締役社長 高橋飛翔氏に、起業家にとって重要な素養、成功する事業の創り方などについて聞いた(全6話)
デジタルマーケティングの本質は「上流」にあり
ーー「デジタルマーケティングで社会を良くする事業化集団」をビジョンに掲げられています。デジタルマーケティングをうまく活用する秘訣についてお聞かせください。
はじめに、デジタルマーケティングの強みと弱みを理解することが大切です。
強みは効果測定がしやすいことと、改善活動がしやすいこと。
広告に対してクリックやコンバージョンがどれぐらいで、結果としてCPA、ROIがいくらという効果測定が極めてロジカルにできます。そして、それに対して高速で改善活動をしていくことがデジタルマーケティングが得意とする世界です。
一方で弱みは、抜本的にマーケティング活動の在り方を変えることはできないこと。
LPやサイトの改善をするのは得意だけれど、顧客インサイトへの理解などの根本部分、いわゆる「上流マーケティング」の部分をデジタルマーケティングで改善することはできません。
デジタルマーケティングは極論、人を採用したり外注費をかけさえすれば汎用化されるものです。なので「上流マーケティング」が差別化の肝となります。
ーー「上流マーケティング」で大切にするべきことについてもお聞かせください。
「顧客理解」。この一言に尽きます。そしてこれが真の意味で実践できている会社はほとんどないのです。
我々は、どんなに業務が忙しくても、消費者一人ひとりと向き合う時間を必ず確保するようにしています。
具体的には、マーケティングチームは毎月最低でも2人はお客様に機会をいただき、なぜ商品を買ってくれたのか、徹底的にヒアリングしています。そしてそのヒアリング内容は全て文字起こしし、全メンバーに共有されています。
「おトクにマイカー 定額カルモくん」を例に挙げると、契約者に会うために地方にでも飛び、なぜ車を買い替えようと思ったのか、なぜカルモを選んだのか、車に乗っている中で嫌なことは何か、ということをひたすら質問しているのです。
このプロセスを繰り返していくことで「もっとこういう質問をして欲しい」「なぜこのお客さんはこう考えたんだろう」という議論がチーム内で生まれ、お客様の頭の中がわかるようになっていきます。それが真の「顧客理解」です。
この「顧客理解」があって初めて「言葉」「色合い」「デザイン」といったマーケティング部分の改善をスタートさせるべきなのです。
すべての秘密は「顧客理解」に詰まっている
ーー顧客理解するための仕組みを作り、組織に浸透されているのが印象的です。
経営者がやるべきは「顧客理解」をなによりも大切にする文化を醸成することです。
先ほどデジタルマーケティングは汎用化されうるものだと申しましたが、差がつくと点があるとすると経営者がどれだけマーケティングにコミットしているか否か。CMOなどに完全に任せてしまっている会社は、マーケティングが弱くなります。
私の場合、全てのインタビュー書き起こしを読み、率先してお客様のことを知ろうとする姿勢を見せるよう意識しています。
経営者自身が誰よりも消費者・顧客を知ろうとすること。そして顧客理解のプロセスそのものを仕組み化し、文化を醸成すること。これが最終的には、デジタルマーケティングにおける成否をも分けることになるのだと思います。
ーー近年のデジタルマーケティング業界ではオンラインとオフラインの融合などもキーワードとして取り上げられています。
「O2O」「OMO」といった流行り言葉が増えていますが、これはバズワード、手段でしかありません。
お客様が何に困っていて、どんなシーンで自社のサービスを使おうと思って、なぜ契約してくれたのか。この顧客理解にしかマーケティングの本質はありません。
顧客理解があるからこそ、「適切なコミュニケーション手段が実はリアルにあったのではないか」、「リアルとオンラインをこう結合させた方がいいんじゃないか」、という解決手段が生まれます。
繰り返しになりますが、「顧客理解」にすべての秘密が詰まっています。流行りの手段に振り回されるのではなく、顧客理解を徹底できるかどうかが、マーケティングをするうえでは大切だと思います。
>第5話「採用・組織づくりは「総合格闘技」。ナイルが目指す理想の組織とは」に続く(8月下旬公開予定)
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