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累計調達額約90億円。ユニファCEO土岐泰之が語るスタートアップ資金調達のポイント(第3話)

「家族の幸せを生み出す あたらしい社会インフラを 世界中で創り出す」をパーパス(存在意義)に掲げ、次世代型保育施設「スマート保育園®」というコンセプトを軸に、午睡センサー、フォトサービス、体温計、シフト管理などのサービスを通して、保育業界全体のDXを牽引するユニファ株式会社。累計資金調達額は約90億円に上る。そんな同社代表取締役CEOの土岐泰之(とき やすゆき)氏に、起業家の素養や事業成長のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの下平将人が聞いた(全4話)

「人生をかけたストーリー」の説得力

ーー今では累計資金調達額が約90億円の御社ですが、エンジェルラウンドでは土岐さんの同級生を含む友人から資金を集められています。これはどういった背景だったのでしょうか?

当時は結構大変でしたね(笑)。

先ほど「自分の人生のテーマ」が見つかったと言いましたが、その後様々な誤算がありました。

プロダクトの開発はすごく時間がかかるし、保育施設内の日常写真サービスと言ってもなかなか保育者さんたちが撮ってくれない。結局最初の頃は私が運動会にプロカメラマンと扮して写真を撮りにいき、壁張りで写真を売って紙袋に代金を入れてもらう、といったことをやっていました。売り上げも月に10万円も無いような状態で、当然ながら最初の自己資金はすぐに無くなっていきました。

こんな状態では、どう考えてもベンチャーキャピタルはお金を出してくれませんよね(笑)。

そこで仕方なく同級生のところに行って出資をお願いして回りました。友人から断られたら気まずくなったりするリスクも当然あるわけですが、そこは「自分の人生のテーマ」をかけた勝負ですから逃げるわけにはいきません。

最終的には一人平均100万円ぐらいで約20名、合計2,000万円ほどの資金を友人から集めました。今でも本当に感謝しています。

 

ーー土岐さんの人望が伝わってくるエピソードですね。

あとになって聞いたのは、私が学生時代から付き合ってる奥さんと仕事をやめて、いきなり豊田市に移り住んだりする「人生の物語」をみんな見ていたんですよね。その末に始めた事業だから「簡単には辞めないだろう」と信用してもらえたのです。

これはまさに起業家の素養として挙げた「社会からの共感を企業価値に変える」部分なのですが、事業のテーマが「人生をかけたストーリー」に基づけば基づくほど、説得力は増し、共感を得やすくなるのだと思います。

 

仲間作りは「業界No.1」にこだわる

ーーその後のシリーズA以降では大型の資金調達に成功されています。ポイントはなんだったのでしょうか?

シリーズAではジャフコさんにVCラウンドとして出資していただきました。

当時は写真事業しかありませんでしたので、保育業界で最大手であるJPホールディングスさんに一点集中で営業に行きました。そこで「顔認識機能」があれば使ってくれると言われたので爆速で機能開発し、大型受注を実現。この実績があったからこそ、シリーズAの資金調達ができました。

つまり事業ステージは変わっていきますが、いかにその時点で「今までの事業が伸びていて、次また伸びそうである」という説得材料を作り込んでいけるかが鍵になります。

 

ーーシリーズB以降は事業会社も多数出資されています。

写真事業の周辺にある「IoT体動センサーを活用した午睡(お昼寝)チェック」によってさらに深い業界課題が解決できることがわかってきたため、シリーズBでは幅広いソリューションを提供する組織づくりが必要でした。

そのため、フレーベル館さんの親会社である凸版印刷さんに出資いただくことで、販売体制を強化することを狙いました。また同時にIoT事業に付随するようなシナジーが期待できる事業会社さんにも出資いただきました。

シリーズCのタイミングでは、「スマート保育園®」を実現していくためにリクルートさんのキッズリー事業を買収するというのが大きな事業成長戦略でしたので、その買収による事業成長シナリオを提示しながら資金調達を進めました。

これらの事業シナジーを志向する資金調達において、私が意識してきたのは「その分野でNo.1の会社に入っていただく」ということ。

例えば今後、スマート保育園®において医療相談を展開していこうと考えたときに、誰がどう考えても業界No.1になりそうなのはLINEヘルスケアを推進されているエムスリーさんでしたので、シリーズCにお声がけして出資いただきました。

このパートナー選びを妥協してしまうとお互い不幸になります。誰がどう見てもうまくいきそう、と思われる形を目指すのが重要だと思っています。

そして、直近では、海外の機関投資家やESG投資家を含めたシリーズDの資金調達を公表させて頂きました。

※インタビュー記事は2021年6月10日現在の内容です

 

 

 

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著者 下平 将人

著者 下平 将人

弁護士として一般民事や企業法務を経験したのち、LINE株式会社の社内弁護士やチャットボット領域の新規事業開発担当を経て、DI、DIMENSIONに参画。人材紹介サービス「CAREEPOOL」のPM。投資先複数社の社外取締役。日本組織内弁護士協会理事。一橋大学法学部、慶応義塾大学法科大学院卒業、グロービス経営大学院卒業。 クリエーターをサポートするArts&Lawに所属しクリエーター向けに無料法律相談を実施。 アニメ業界のペインについて業界を横断して考える「Animation&law」を主催。

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